サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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リウマチ専門医のCAMに対する意識 [2010年01月31日(日)]
今月の補完代替医療の専門ジャーナルに,米国のリウマチ専門医のCAM(補完代替医療)に対する考え方を調べた研究が報告されていました。
(BMC Complement Altern Med. 2010 Jan 28;10(1):5.)




今回の研究では,全国調査のデータから,リウマチ専門医(内科医)におけるCAMに対する考え方・とらえ方が調べられています。


具体的には,リウマチ専門医500名を対象に,6分野の補完代替医療に対する考え方(効果の有無に対する考え方,推奨するかどうかという考え方)が解析されました。



58%にあたる345名(うち女性は80名,23%)から回答が得られています。



最も便益があるとされたCAM療法はボディワークで,70%の回答者があげています。


次に,鍼をあげた回答者が54%でした。


回答者の多くが,CAM療法を推奨するという結果が得られており,特に女性では,CAM療法の便益を認め推奨する傾向が示されています。



また,北米生まれではないリウマチ専門医のほうが,CAM療法の便益を理解している,ということです。



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抗加齢医学 [2010年01月30日(土)]
抗加齢医療 その最前線の実際』(新興医学出版社)という本が届きました。



拙稿「健康食品・サプリメントの機能評価システム」が掲載されています。




アンチエイジングは,比較的新しい分野ですが,サプリメント・健康食品を中心に,少しずつエビデンスが構築されつつあります。


(なお,抗加齢/アンチエイジングよりは,ヘルシーエイジングというほうが,抵抗が少ないかもしれません。)



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統合医療の推進@予算委員会 [2010年01月29日(金)]
今日,学会の事務局で3月に開催するシンポジウムについての打ち合わせがありました。


その打ち合わせの合間に,事務局スタッフの方が録画した参議院予算委員会での質疑をみる機会がありました。

昨日(1/28),民主党の山根議員が,補正予算の質疑の際,統合医療について言及した部分です。


まず,同議員が鳩山首相に,統合医療についての見解を尋ねたのに対して,首相は,政府として検討し,推進していきたい,と答弁されています。


総理大臣から,統合医療推進が明言されたことは意義深いと思います。



次に,科学的根拠や安全性の検討についての質問に対し,長妻厚労大臣が答弁に立ち,窓口の一本化や研究予算の計上などを述べていました。



昨年11月,東大安田講堂で開催された学会の際,山根議員も出席され,私と同じセッションで発言されていました。


また,鳩山首相は,野党時代に,統合医療学会主催のシンポジウムにご夫妻で出席され,挨拶をされていました。

そのため,鳩山首相も山根議員も,統合医療については一定の理解をされていると思います。




現在,統合医療については,欧米諸国はもちろん,日本以外のアジア各国も戦略的に推進しています。


これには,慢性疾患に対処する医療としてだけではなく,予防の重視による医療費の抑制といった目標があります。

さらに,中国政府は,自国の伝統医療を世界標準に組み入れるという野心的な戦略を持ち,欧米で積極的に活動しています。


研究者の間ではよく知られているように,米国では,日本の数十倍から100倍以上の研究費を,連邦政府予算から統合医療・補完代替医療分野に投入しています。

(これは日米の経済規模の差を考慮しても大きな差になっています。)


日本でも,政策的戦略的な取り組みが早急に求められる自体になっており,本来であれば,厚労大臣だけではなくて,国家戦略局で策定するべき案件のように感じました。


すくなくとも,現在の政権のもとで,欧米諸国や他のアジア諸国に対抗できるだけの戦略と体制作りが求められています。


これは,単にサプリメント・健康食品に関するエビデンス構築や提供というだけではなく,伝統医療の発信等も必要ですし,将来的には資格制度の見直しについての議論も求められるでしょう。


現政権は発足後,混乱も見られますが,統合医療の推進という戦略的政策を期待したいと思います。


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ピクノジェノールによる腎臓保護作用 [2010年01月28日(木)]
今月の循環器薬理学の専門ジャーナル(電子版)に,ピクノジェノールが高血圧患者における腎機能を保護するかどうか,検討した臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(J Cardiovasc Pharmacol Ther. 2010 Jan 22)


ピクノジェノールは,フランス海岸松に由来するフラボノイドを主成分とする機能性食品成分です。




抗炎症作用や抗酸化作用を介して,病気の予防や症状の改善に効果が期待されています。



今回の研究では,高血圧治療薬であるACE阻害剤(ramipril)を服用している高血圧患者で,腎障害初期の所見が認められる被験者を対象に,ピクノジェノールの作用が検討されました。


具体的には,ラミプリル(ramipril) 10mg/日の単独投与群26名,ACE阻害剤+ピクノジェノール投与群29名の2群について,6ヶ月間の介入試験が行われています。



その結果,試験終了時には,両群とも収縮期血圧および拡張期血圧の低下が認められました。


このとき,ACE阻害剤にピクノジェノールを併用投与群では,拡張期血圧がさらに有意な低下を示したということです。



本研究の目的である,ピクノジェノール投与による腎臓保護作用に関しては,まず,ACE阻害剤投与群では,尿中アルブミン値は,87± 23 から 64 ± 16 mg/dへと低下(改善)しています。


一方,ピクノジェノール併用群では,91 ± 25 から 39 ± 13 mg/day へと有意な低下(改善)(P < .05)が認められました。



血中クレアチニン値は両群において低下しましたが,ピクノジェノール併用群において有意な低下が示されています。


また,CRP値は,ACE阻害剤単独群では,2.1 から 1.8へ低下し,ピクノジェノール併用群では,2.2 から 1.1へと有意に低下(改善)しました。


その他,カラードップラー法にて測定された腎皮質血流速度は,ACE阻害剤の6ヶ月間の投与群では,収縮期および拡張期ともに上昇していたのに対して,ピクノジェノール併用群では,さらに有意な上昇が認められたということです。


具体的には,ピクノジェノール併用群では,ACE阻害剤単独投与群に比べて,拡張期フローは8%,収縮期フローは12%上昇しています。



以上のデータから,ピクノジェノールは,降圧剤服用中の高血圧患者における腎障害の進行を抑制することが示唆されます。



機能性食品素材・サプリメントの治療医学への応用という視点から興味深いデータです。


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急性痔疾患とピクノジェノール [2010年01月27日(水)]
生薬学の専門ジャーナル(電子版)に,ピクノジェノールによる急性痔疾患に対する治療効果を示した臨床研究が,イタリアのグループ(G D'Annunzio University)から報告されていました。
(Phytother Res. 2009 Dec 29.)


ピクノジェノールは,フランス海岸松に由来するフラボノイドを主成分とする機能性食品成分です。


抗炎症作用や抗酸化作用を介して,病気の予防や症状の改善に働きます。




今回の研究では,急性痔疾患に対する,経口および外用のピクノジェノールの働きがランダム化比較試験により検証されています。


具体的には,急性痔疾患のエピソード(48時間以内)を有する84名を対象に,7日間の介入(投与)期間,その後の7日間の観察期間において,ピクノジェノールの作用が評価されました。


その結果,偽薬群に比べて,ピクノジェノール投与群では,急性外痔核における症状関連スコアが有意に減少したということです(p < 0.05)。


0.5%のピクノジェノール外用剤を経口摂取と併用した群では,症状の改善(スコアの減少)がより速やかでした。


さらに,ピクノジェノール投与群では,7日間の投与によって,出血を示す患者がいなくなった(7日間の観察期間も含めて14日間)のに対して,偽薬群では2週間後にも出血を示す患者が認められています。



以上のデータから,ピクノジェノールは,経口摂取および外用にて急性痔疾患の症状改善に有用であることが示唆されます。



作用メカニズムとして,ピクノジェノールの抗炎症作用などが考えられます。


痔疾患に対してピクノジェノールを単独利用することはないと思いますが,補完療法として興味深い報告です。


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移動日 [2010年01月26日(火)]
今日は移動日です。


空港での保安検査強化による大混雑を予想していたのですが,まずまず許容範囲内の混み具合でした。


結局,目的地までの早朝第1便に振り替えてもらったので,乗り継ぎには十分な時間が取れました。


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クイズの続き(2) [2010年01月25日(月)]
クイズの続きです。


A.ビタミンDについてのクイズでは,次のような例がありました。
臨床医向けの問題です。



-- You see a 43 year old woman who comes in for depression. Her 25-OH Vit D level is 18 ng/mL.

-- How do you dose Vitamin D?


1. 400 IU/day

2. 1,000 IU/day

3. 2,000 IU/day

4. 5,000 IU/day

5. More




B.次は正しい組み合わせを選ばせる問題です。


Match clinical benefit with supplement


Supplement Clinical Indication

1. Fish oil         A. Improved insulin response

2. Chromium        B. Improved immunity, insulin sensitivity

3. Zinc            C. Neuropathy

4. Vitamin D        D. Cardiovascular, lipid, and anti-inflammartory benefits

5. Alpha lipoic acid      E. Hypertension, statin nutrient depletion

6. CoQ10           F. Improved would healing, immunity



(なお,カンファレンスの目的は,慢性疾患に対するintegrativeなアプローチを議論することですので,クイズは単なるお遊びのプレゼンです。)





Aの答え:3あるいは4という回答が多くを占めていました。

(この場合,Vit Dは最低50ng/mLがとりあえずの目標です。)

(個別化医療なので,どちらが正解ということではなく,高用量を投与する,ということになります。)



B:知識の再確認というレベルの問題で,簡単すぎたので,正解率の集計などは行われませんでした。

(4. Vitamin Dは特に多彩な作用を有しますが,他の選択肢のサプリメント成分については特異な臨床効果が示されていますので,迷うことはないと思います。)


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クイズの続き [2010年01月24日(日)]
カンファレンスで出題されたクイズの続きです。



Which of following have the best evidence for improving cardiovascular health in diabetics ?


1. Chromium picolinate

2. Gymnema sylvestre

3. Omega-3 fatty acids

4. Vitamin D3

5. Exercise




回答者の多くは,米国の家庭医です。


心疾患についての問題は,正解率が比較的高い印象です。



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正解は5.

なお,1から4の中で選ぶのであれば,オメガ3系脂肪酸です。
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 [2010年01月23日(土)]
昨日に続いて,今日も早朝は雨でした。



ただ,カンファレンスが始まるころになると晴れ間がのぞき,虹がかかっていました。





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メタボリック症候群の改善に最も有効な方法は [2010年01月22日(金)]
今週末,サプリメントに関するEvidence-based Updateのカンファレンスに参加しています。


いくつかのセッションではクイズが出題されました。



例えば,今日のセッションでは,次のようなクイズがありました。



A.メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の改善には,次のどれが最も有効か?


1.プラセボ

2.生活習慣への対策

3.メトホルミン

4.クロム

5.ステビア




B.次の減量補助剤のうち,最も有効なのは?

1.緑茶

2.フーディア

3.共役リノール酸

4.ビターオレンジ(シトラスアランチウム)

5.キトサン








いずれも,全員が卓上ツールで回答し,リアルタイムで回答者の結果が表示されるというインタラクティブな形式になっています。









Aの答え:2.生活習慣への対策


Bの答え:(セッションでの回答は緑茶でした。ただ,私見ですが,エビデンスのレベルとしては,緑茶,共役リノール酸,キトサンあたりは同じくらい,続いて,シトラスアランチウムという感じでしょうか。)



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クルミの脂質代謝改善作用 [2010年01月21日(木)]
今月の栄養学専門ジャーナルに,クルミの摂取による脂質代謝改善作用を示した臨床研究が,米国のグループ(California State University Northridge)から報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2010 Jan 20.)



これまでに報告された予備的な短期間の臨床試験では,クルミの摂取による脂質異常症改善作用が示唆されています。


しかし,通常の生活を送る場合の長期間のコンプライアンスおよび効果については,明確ではありませんでした。


そこで,今回の研究では,正常あるいは脂質異常症(総コレステロール高値)を示す被験者87名を対象に,クルミ添加食あるいは対照食(被験者の通常食)が投与されました。

(各群6ヶ月間のランダム化クロスオーバー法。)


クルミ添加群は,総エネルギー比の12%がクルミ由来の食事です。


被験者は,2ヶ月毎にクリニックで体組成や脂質関連指標の検査を受けています。



その結果,クルミ添加群では,脂質代謝の改善作用が認められました。


この効果は,試験開始時の血中総コレステロール値が高い被験者においてより有意な結果となっています。



具体的には,総コレステロールの有意な低下(P=0.02),中性脂肪の有意な低下(P=0.03),LDLコレステロールの低下傾向(P=0.06)が認められました。


なお,HDLには有意な変化は示されていません。




以上のデータから,通常の食生活にクルミを使いすることで脂質代謝改善作用が期待されます。


(ただし,脂質異常症の改善のために,毎日,比較的多くのクルミをわざわざ摂取することは非現実的ですが。)



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カロテノイドの相互作用 [2010年01月20日(水)]
今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,カロテノイド系ファイトケミカルの体内動態における相互作用を調べた基礎研究が,米国のグループから報告されていました。
(Eur J Nutr. 2010 Jan 16.)



カロテノイド系ファイトケミカルは,吸収や体内分布の過程で相互に影響し合うことが知られています。


例えば,大量のルテイン,ゼアキサンチン,βカロテンは,血中濃度だけではなく,目の網膜等の組織・臓器において相互に影響します。




今回の研究では,ニワトリを用いて,これらのカロテノイドの相互作用が検討されました。


具体的には,ニワトリ(male Leghorn)が,次の各群にわけられ,14日間あるいは28日間の投与試験後,ルテイン,ゼアキサンチン,βカロテンの血中および組織中の濃度が測定されています。



用いられた試験食は,

・高ルテイン食

・高ゼアキサンチン食

・高βカロテン食(3群)

・対照群

であり,この他に

・投与前データ(baseline data)取得群:(1-day-old group)

が設定されています。



解析の結果,

高ルテイン投与群では各組織でルテイン濃度が増加し,

高ゼアキサンチン投与群でも同様に各組織でのゼアキサンチン濃度の増加が認められています。



28日後の時点において,対照群(ルテイン 5.2 mg/kg +ゼアキサンチン 1.7 mg/kg)に比べて,ルテイン投与(27.2 mg/kg diet)群あるいはゼアキサンチン(15.3 mg/kg diet)投与群では,網膜のルテインあるいはゼアキサンチンが,それぞれ128%,116%増加していました。


高ゼアキサンチン投与群では,ルテインの血中濃度および網膜以外の組織での濃度が低下しており,

同様に,

高ルテイン投与群では,ゼアキサンチンの血中濃度および網膜以外の組織での濃度が低下していました。


一方,高ルテイン投与群では,網膜のゼアキサンチンは増加し,

同様に,

高ゼアキサンチン投与群では,網膜のルテインの増加が認められています。



高βカロテン投与群では,血中濃度および肝臓での増加が認められた以外には,網膜も含めて他の組織での増加は見出されていません。


高βカロテン投与群は,血中や網膜など多くの組織におけるルテインおよびゼアキサンチン濃度の低下を生じたということです。



以上のデータから,カロテノイド系ファイトケミカルは,吸収や体内分布の過程において互いに影響し合うことが示唆されます。


特に,βカロテンを単独で高用量に投与すると,ルテインやゼアキサンチンの低下が想定されます。


そこで,サプリメントでは,一般に,βカロテン単独ではなく,マルチカロチンなどカロテノイドを組み合わせたサプリメントが用いられています。


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小児の急性白血病患者におけるマリアアザミの肝臓保護作用 [2010年01月19日(火)]
今月の腫瘍学の専門ジャーナル(電子版)に,小児の急性白血病患者におけるマリアアザミの肝臓保護作用を示した臨床研究が,米国コロンビア大学のグループから報告されていました。
(Cancer)



マリアアザミは,キク科の生薬で,種子の抽出物に含まれるシリマリンsilymarinが肝臓保護作用を示すことが知られています。


米国での使い方の一つとして,医薬品の摂取に伴う副作用である肝障害に対して,マリアアザミのサプリメントを併用することで,医薬品による肝毒性を軽減させる,という方法があります。




例えば,アセトアミノフェンとマリアアザミの併用などです。

(アセトアミノフェンは,肝毒性を有する医薬品の代表格です。)




今回の研究では,急性リンパ性白血病(ALL)の小児患者を対象に,マリアアザミの肝臓保護作用が検証されました。


具体的には,小児ALL患者50名を対象に,二重盲検法にて,マリアアザミあるいは偽薬が28日間投与され,肝機能の指標が測定されています。


副作用の頻度,毒性に関連した重症度,感染の頻度といった指標に関して,両群間に有意差は認められませんでした。



また,肝機能検査の指標であるALTやAST,総ビリルビンは,28日目の時点では有意差は認められませんでした。


一方,56日目の時点では,マリアアザミ投与群は,ASTが有意に低値(P = .05)であり,ALTも低下傾向(P = .07)でした。


さらに,化学療法(抗がん剤)の用量を減らした患者の割合は,偽薬群の72%に対して,マリアアザミでは61%と低値でした(有意差なし)。

(化学療法・抗がん剤投与では,副作用のために用量を減らすことが考えられますが,その割合が,マリアアザミ群では少なかった,ということになります。)



その他,in vitro実験系(CCRF-CEM細胞)において,高濃度のマリアアザミによるALL培養細胞系への作用が検証された結果,抗がん剤(vincristine or L-asparaginase)とマリアアザミによる相互作用(マリアアザミによる拮抗作用)は認められていません。




以上のデータから,論文著者らは,マリアアザミは,急性白血病(ALL)の小児患者において,抗がん剤の働きに拮抗することなく,化学療法による肝毒性を軽減することが示唆されます。



マリアアザミは,認容性の高いハーブです。


ただし,個別の病態や疾患における医薬品との併用については,用法用量の検証の必要があります。


今後,医薬品の副作用(肝毒性)を軽減することを目的として,医療現場における応用に向けた科学的根拠の構築が期待されます。


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プロポリスの抗菌作用 [2010年01月18日(月)]
今月の生薬学の専門ジャーナル(電子版)に,プロポリスによる抗菌作用(抗MRSA作用)を示した基礎研究が,英国のグループ(University of Strathclyde)から報告されていました。
(Phytother Res. 2010 Jan 13.)



プロポリスとは,蜜蜂が樹木から集めた植物成分に,蜜蜂の分泌物が合わさって作られた物質です。


主な成分はフラボノイド系ファイトケミカルであり,殺菌作用や抗酸化作用が知られています。



今回の研究では,抗MRSA活性を有する新規成分を探索する目的で,ソロモン諸島の民間療法で用いられているプロポリス('Pacific propolis')の作用が検証されました。




15株のMRSA株に対して,in vitro系でのアッセイが行われた結果,抗MRSA活性が見出されたということです。



プロポリス抽出物23フラクションの解析では,

プレニルフラバノン(Prenylflavanone)類の

propolin H,

propolin G,

propolin D,

propolin C

といった有効成分が同定されました。



また,MICは,

propolin Dでは8-16 mg/L,

propolin Cでは8-32 mg/L

という値になっています。




今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。


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小児における麻酔処置とアロマセラピーの効果 [2010年01月17日(日)]
麻酔関連看護学の専門ジャーナルに,小児におけるアロマのエッセンシャルオイルの効果を示した臨床研究が,米国のグループから報告されていました。
(J Perianesth Nurs. 2009;24:307-12.)



アロマセラピー(アロマテラピー)で用いられるエッセンシャルオイルは,臨床医学分野での応用が期待されます。


今回の研究では,麻酔関連状態(麻酔の前処置や麻酔投与前検査,麻酔後の処置や疼痛管理など)における,小児のストレス状態や痛みに対して,アロマセラピーがどのような影響を与えるか,検討されています。



具体的には,小児94名を対象に,アロマセラピー施術群および対照群の2群に分けて,ランダム化比較試験として実施されました。


アロマセラピー施術群には,ラベンダーとジンジャーのエッセンシャルオイルが用いられ,
対照群は,ホホバオイルが用いられています。


麻酔導入前と麻酔回復室(PACU)の2点にて,FLACCスケール(Faces, Legs, Arms, Cry and Consolability scale)が測定された結果,


アロマセラピー施術群では,distress levelの平均値が低下する傾向が認められました(P = .055)。


また,患者を対象にした調査でも,アロマセラピー施術による効果が示唆されています(有意差はなし)。




以上のデータから,小児における麻酔関連処置時のアロマセラピー施術による効果が期待されます。





アロマセラピーは,臨床医学における補完療法として,広く応用が期待できる施術法です。


アロマセラピー関連資格を有する看護師も多いようですので,今後,日本でも統合医療分野におけるアロマセラピーの導入が期待されます。



なお,DHCでは,アロマシリーズとして,各種のエッセンシャルオイルを取り扱っています。




(今回の研究で用いられたラベンダーやジンジャーに相当するDHC製品は,

DHCエッセンシャルオイル ラベンダー(オーガニック)


DHCエッセンシャルオイル ジンジャー(オーガニック)

になります。)


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乳がん患者におけるCAM利用状況 [2010年01月16日(土)]
今月の看護学の専門ジャーナルに,乳がん患者におけるCAM(補完代替医療)利用状況を調べた研究が,米国のグループ(Michigan State University)から報告されていました。
(Nurs Res. 2010 Jan-Feb;59(1):58-66.)



これまでの研究によって,乳がん患者の多く(最大80%)が治療中に,QOL改善を目的としてCAMを利用しているとされています。



今回の研究では,早期の乳がんと診断された患者222名を対象に,CAM利用の種類,費用,QOL,外科治療との関連といった項目が調査されました。


その結果,56.8%の女性が少なくとも一つのCAMを利用しており,最も多いのは生物学的な介入方法(43.7%)でした。


(生物学的介入方法は,NIHのNCCAMによるCAMの分類の一つで,サプリメントなどが含まれます。)



教育水準との関連では,(最終学歴が)大学教育未満の女性では,CAMの利用率が有意に低いというデータが示されています(オッズ比=0.36, 95% CI= 0.15-0.86, p < .01)。


一方,有職者(勤労者)の女性は,複数のカテゴリーのCAMを利用するという有意な相関が認められました(オッズ比= 2.42)。


また,QOLが低いと,CAM利用率が高いという相関も示されています(オッズ比= 0.97, 95% CI = 0.95-0.99, p < .01)。



以上のデータから,乳がん女性におけるCAM利用と,QOLや教育水準との関連が示唆されます。



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ブルーベリーで認知症予防 [2010年01月15日(金)]
今月の農芸化学の専門ジャーナル(電子版)に,ブルーベリーの摂取が高齢者における認知機能を改善したという臨床研究が,米国のグループから報告されていました。
J Agric Food Chem. 2010 Jan 4)


ブルーベリーにはアントシアニン類などのファイトケミカルが豊富に存在し,抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性が考えられます。


アントシアニンは,中枢神経系における神経機能の維持に関与することが示唆されています。


そこで,今回の研究では,ブルーベリージュースによる認知機能への働きが検証されました。


具体的には,高齢者9名(平均年齢76.2歳)を対象に,1日あたり500mlのブルーベリージュースを12週間投与し,認知機能に関連する検査が行われました。


その結果,記憶能に関する有意な改善が認められたということです。

(paired associate learning; p= 0.009,word list recall; p = 0.04)


また,うつ状態の軽減傾向(p = 0.08)や,血糖値の低下傾向(p = 0.10)も示されています。


さらに,同一のプロトコールによる偽薬対照群との比較検証も行われました。




以上のデータから,ブルーベリー果汁による認知機能改善作用が示唆されます。




ブルーベリーというと目の健康維持という印象がありますが,基礎研究では強力な抗酸化作用と抗炎症作用を介した中枢神経系に対する作用も示されており,今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。



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紅麹による心血管イベントの抑制効果 [2010年01月14日(木)]
今日,スライドをいくつか更新していて,紅麹のデータを追加しました。


紅麹については,LDLコレステロール低下作用に関するエビデンスは十分に構築されています。


また,以前,このブログで紹介しましたように,スタチン不耐症の脂質異常症患者に対して,紅麹の投与が有用である,という臨床試験も報告されています。



一方,臨床的には,単なるLDL低下だけではなくて,実際に病気を予防できるかどうかが問題になります。


(なお,これは,医療用医薬品でも課題です。単に検査データが改善しても,重大な病気を防ぐことができなければ,薬としての有用性が低いわけですので。)



紅麹については,心血管イベントのリスク低減作用を示した多施設共同臨床試験が,米国循環器病学専門ジャーナルに報告されています。
(Lu et al Am J Cardiol 2008)



試験の対象者は,心筋梗塞の既往を有する中国人患者4,870名です。


紅麹(600mg/日)あるいは偽薬が平均4.5年間投与されています。

(紅麹は1カプセル300mg。 モナコリンKは2.5-3.2mg/カプセル)



その結果,

主エンドポイントである心血管イベント発生率は,

紅麹 投与群では5.7% であったのに対して,偽薬群では10.4%でした。

(つまり,紅麹投与がリスクを低減させたことになります。)



また,紅麹投与群では,心血管死が30%低下,全死亡率が33%低下しています。


その他,脂質代謝改善(T-cho↓,LDL↓,HDL↑, TG↓)作用も示されました。





イベントフリー(心血管イベントのない)の患者の割合を縦軸にすると,こんな感じのグラフになります。






今回の研究対象となったのは中国人です。


白人と比べた場合には,同じアジア人ということで遺伝的背景は日本人と共通する点が多いと思われます。


アジア人において,紅麹の心血管イベント抑制作用が示されたということで,脂質異常症を有する日本人でも同様の効果が期待できると思います。



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CAM利用とがんサバイバー [2010年01月13日(水)]
今月の腫瘍学の専門ジャーナルに,CAM(補完代替医療)を利用するがんサバイバー(生存者)の特徴を調べた研究が,米国のグループ(Wayne State University)から報告されていました。
(Oncol Nurs Forum. 2010 Jan;37(1):E7-E15.)



研究の目的は,米国のがんサバイバーを対象に,CAMの利用状況について調査し,その特徴を明らかにすることです。


(2002年の全米健康調査(2002 National Health Interview Survey)のサブ解析として行われています。)


具体的には,がんと診断された18歳以上の成人2,262名を対象に,各種のCAM療法(食養生,ヨガ,太極拳,気功,瞑想,イメージ誘導療法,リラクセーション,深呼吸法)と,性別,症状との関係が調べられました。



年齢,性別,教育,人種,がん診断,疼痛,不眠,疲労,うつ,健康状態といった因子との関連が検討された結果,

CAM利用が多いがんサバイバーの特徴として,

女性,壮年期,白人,高い教育水準

といった点が見出されました。



また,対象とする症状では,疼痛,うつ,睡眠障害がCAM利用と相関が認められたということです。



がんサバイバーに限らす,有病者におけるCAM利用は,ごく当たり前に行われています。

医療従事者側には,それらの利用についての適切なアドバイスが求められます。


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ヨガとベジタリアン食による肥満改善 [2010年01月12日(火)]
今月の臨床医学の専門ジャーナルに,短期間のヨガと食事介入による肥満改善効果を示した臨床研究が,インドのグループから報告されていました。
(Med Sci Monit. 2010 Jan;16(1):CR35-40.)



肥満に対しては,適切な運動と食事が推奨されますが,長期間の継続が困難な場合もあります。


今回の研究では,座位での呼吸法を重視するヨガ(ヨーガ)と,ベジタリアン食による肥満への効果が検証されました。



具体的には,肥満者47名を対象に,1日5時間のヨガ療法と低脂肪・高食物繊維のベジタリアン食による介入を行い,前後でBMIやウエストヒップ比,脂質代謝指標などが測定されています。


6日間の介入の結果,BMIの低下(1.6%),ウエストヒップ比の低下,総コレステロール値の低下(7.7%),HDLの低下(8.7%),空腹時血中レプチン値の低下(44.2%)が認められました。


また,姿勢安定性の改善と握力の増強も示されています(全被験者,p<0.05)。




以上のデータから,呼吸法を中心とした短期間のヨガによる強化介入とベジタリアン食による食養生には,肥満に対する一定の改善効果が期待できそうです。




近代西洋医学に基づく肥満治療では,診療ガイドラインが設定されていますが,すべての肥満者が減量できるわけではありません。


伝統医療による介入方法でも,肥満を改善させる効果が知られていますので,EBMの構築という点で興味深いデータです。


特に,ヨガの場合,(一定期間,有資格者/指導者の下でのトレーニングが必要ですが)基本的には自宅で行うことができるという点で,費用対効果が高い方法です。


なお,肥満改善を目的とするベジタリアン食では,炭水化物の質に注意が必要です。

(低脂肪であっても,単純炭水化物の摂取が多くなれば,減量は困難となります。)


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