今日,スライドをいくつか更新していて,紅麹のデータを追加しました。
紅麹については,LDLコレステロール低下作用に関するエビデンスは十分に構築されています。
また,以前,このブログで紹介しましたように,スタチン不耐症の脂質異常症患者に対して,紅麹の投与が有用である,という臨床試験も報告されています。
一方,臨床的には,単なるLDL低下だけではなくて,実際に病気を予防できるかどうかが問題になります。
(なお,これは,医療用医薬品でも課題です。単に検査データが改善しても,重大な病気を防ぐことができなければ,薬としての有用性が低いわけですので。)
紅麹については,心血管イベントのリスク低減作用を示した多施設共同臨床試験が,米国循環器病学専門ジャーナルに報告されています。
(Lu et al Am J Cardiol 2008)
試験の対象者は,心筋梗塞の既往を有する中国人患者4,870名です。
紅麹(600mg/日)あるいは偽薬が平均4.5年間投与されています。
(紅麹は1カプセル300mg。 モナコリンKは2.5-3.2mg/カプセル)
その結果,
主エンドポイントである心血管イベント発生率は,
紅麹 投与群では5.7% であったのに対して,偽薬群では10.4%でした。
(つまり,紅麹投与がリスクを低減させたことになります。)
また,紅麹投与群では,心血管死が30%低下,全死亡率が33%低下しています。
その他,脂質代謝改善(T-cho↓,LDL↓,HDL↑, TG↓)作用も示されました。
イベントフリー(心血管イベントのない)の患者の割合を縦軸にすると,こんな感じのグラフになります。
今回の研究対象となったのは中国人です。
白人と比べた場合には,同じアジア人ということで遺伝的背景は日本人と共通する点が多いと思われます。
アジア人において,紅麹の心血管イベント抑制作用が示されたということで,脂質異常症を有する日本人でも同様の効果が期待できると思います。
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