新しいクラスになって、ベテランだなと思う先生がついた。
将ちゃんにね。
あーちゃんは0歳児クラスで先生とマンツーマン。
その年はなかなか赤ちゃんが入ってこなくてしばらく3人ぐらいの
赤ちゃんを先生2人で見てくれる、贅沢な環境。
あーちゃんはもちろん毎日ニコニコ
で、将ちゃんはと言うと。
去年のクラスで懲りたから正直に言った。
「よくパニックを起こします」
「ご飯も食べないことが多くて・・・・」
「決まった服しか着なかったりもします」
その時の将ちゃんは、教室がいつもと違うと泣き、暴れていた。
それでも私は先生に兄弟を預けると安心して仕事に行った。
ある日、将ちゃんの調子が悪かったのでお昼に迎えに行った。
すると将ちゃんは寝ていて、起こすのもかわいそうだと思っていたら
クラスの先生に「今 時間ありますか?お話が・・・」
怒られる。
何も言われてないのに私はそう思った。
怒られるんだ、また。去年みたいに。
これ以上私に何をしろって言うのかな・・・・
もう涙ぐんでいた。
所長室に通され、座ったとたんに泣いてしまった。
所長先生は「不安だった?」と優しく言った。
そこで私は初めて去年からの不安、つらかったことをぶちまけた。
私の
タオルは涙でぐちゃぐちゃになっていた。
そして担任の先生から最近の将ちゃんの様子を聞いた。
椅子にこだわりがあるので将ちゃんのマークを貼ったら落ち着いた。
時々、あーちゃんのクラスに逃げ込むことがあって
他の赤ちゃんが危ないので(将ちゃんは走り回るので)
0歳児組の写真を撮り、×をつけて「ここは行きません」と
指導してくれたこと。
服も、「これはちがう!」といつも着替えさすのが大変で・・・
寝る場所も
タオルの上下も決まっていて
いつも人気のないすみで寝ていること。
知らなかった。
将ちゃん、そんなに先生に大変なことしてもらってたの・・
所長先生は優しく口を開いた。
「お母さん、あのね。お母さんはいつも頑張ってるの。
見てたらわかるの。でも、将ちゃんが問題行動を起こすのは
誰が悪い、っていう問題じゃないのよ・・・」
先生が言いたいことがわからなかった。
ただヒトツ、「お母さんが悪いんじゃない」と言う言葉だけが
頭の中に入った。
「私たちは、現場のプロとしての意見しか言えないけど
将ちゃんには障害があるんじゃないかと思います」
しょうがい・・・・・・・・・・・・
普通じゃないってこと・・・・・?
それは何?
「自閉症、って知ってるかな」
首を振る私。
「そう。まだ、確定してないからなんとも言えないから
はっきりとは言えないけど。もうじき3歳児検診だから
専門科に見てもらわない?」
頷くことしかできない私。
夫に、何て言えばいいんだろう。
それより、障害児ってこと?将ちゃんが?
頭の中はパニックだ。
まだ将ちゃんが起きるには早かったので私はあーちゃんのクラスに行った。
あーちゃんは起きていてハイハイでこっちに来た。
私は真っ赤に泣きじゃくった顔であーちゃんを抱きしめた。
0歳児クラスの先生はわかっていたのか、
「将ちゃんみたいなタイプの子はね、パズルやらすと
大人しくなったりするよ。そういうのが好きな子多いよ」
そう教えてくれた。
あーちゃんが笑う。
私はまた涙を流す。
あーちゃんはたっちして私を覗き込む。
ここで泣いてばかりいられない。
私が、しっかりしないといけないんだよね。
お昼寝が終った将ちゃんを迎えに行って、帰りにまた少し泣いた。
その秋、3歳児検診でひっかかり、見事に児童相談所送りになった。
そこで「自閉症の可能性有り、知的障害はなし」
「広汎性発達障害」と診断された。
ここから、私の学習会巡りが始まる。