泌尿器科学の専門ジャーナルに,前立腺切除術時における前立腺肥大症治療薬およびノコギリヤシ摂取の影響について検討した臨床研究が報告されていました。
(
Scand J Urol Nephrol. 2009;43(5):377-382.)
前立腺肥大症に対しては,医薬品ではテストステロン5α還元酵素阻害薬(Dutasteride;デュタステライド),ハーブサプリメントではノコギリヤシ(
Serenoa repens)が利用されます。
今回の研究では,前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術(TURP)の前に,デュタステライドあるいはノコギリヤシを短期間摂取していた場合において,手術中の出血に影響があるかどうか,検討されています。
具体的には,TURP施行予定の患者75名を対象に,
1.対照群(21名)
2.デュタステライド(5 mg/day)投与群(27名)
3.ノコギリヤシ160 mg/day投与群(27名)
の3群に分けて,術前に5週間の投与が行われました。
TURP術中の出血に関連する各種指標が測定されています。
その結果,術中の全失血量,出血時間,切除組織中の出血重量,血中ヘモグロビン値など出血傾向に関連する指標(Total blood loss, total blood loss/time, total blood loss/weight of resected tissue and total blood loss/weight/time, microvessel densityなど)について,各群間で有意な差は認められませんでした(p > 0.05)。
以上のデータから,前立腺肥大症に対する前立腺切除術前のデュタステライドあるいはノコギリヤシ摂取は,(出血に関連して)外科的な処置に影響を与えないと考えられます。
ノコギリヤシは,医薬品との相互作用も知られておらず,認容性の高いハーブサプリメントです。
(前立腺肥大症の症状改善効果については,多くのランダム化比較試験で報告されています。)
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