臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,ベジタリアンにおける血中ビタミンB12値についての調査研究が,英国のグループ(University of Oxford)から報告されていました。
(
Eur J Clin Nutr. 2010 Jul 21.)
ビタミンB12は,動物性食品に含まれる必須栄養素です。
植物性食品の一部にも存在しますが,一日あたりの必要量を充足するための供給源として確実とはいえません。
(なお,卵や牛乳,乳製品といった動物性食品には,ビタミンB12が含まれますので,これらの食品を適切に摂っているベジタリアンでは問題ありません。)
実際,これまでの研究では,ベジタリアン,特にビーガン(ヴィーガンvegan)において,血中ビタミンB12値が平均よりも低めであることが示されてきました。
今回の研究では,ビタミンB12や葉酸の値と,各種の交絡因子との関連が調査されています。
具体的には,男性689名(非ベジタリアン226名,ベジタリアン231名,ビーガン232名)を対象に解析が行われました。
(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition Oxford cohort)
まず,血中ビタミンB12値は,非ベジタリアン群で最も高く(281, 95% CI: 270-292 pmol/l),次にベジタリアン群(182, 95% CI: 175-189 pmol/l)であり,ビーガン群では最も低くなっています(122, 95% CI: 117-127 pmol/l)。
ビーガンの52%,ベジタリアンの7%は,医学的にはビタミンB12欠乏症とされる状態です(血中ビタミンB12値<118 pmol/lとして定義)。
また,年齢,ベジタリアン食あるいはビーガン食の利用期間といった交絡因子とは有意な相関は示されていません。
これに対して,葉酸値は,ビーガン群で最も高値であり,ベジタリアン群,非ベジタリアン群の順でした。
葉酸値について,非ベジタリアン群の2名が,医学的に欠乏症とされています(血中葉酸値<6.3 nmol/l)。
以上のデータから,ビーガン群では,葉酸値は高いものの,ビタミンB12が不足しやすいことが示唆されます。
なお,今回の研究では有意差は見出されていませんが,他の研究では,ベジタリアン食あるいはビーガン食の摂取期間(年数)が長いほど,血中ビタミンB12値が低いことが知られています。
ベジタリアン食は,栄養学的に適切に摂れば,生活習慣病を予防することが知られており,従来からのエコロジーの視点に加えて,ベジタリアン食という選択肢が注目されています。
一方,ビーガン食ではビタミンB12が不足するため,安定した供給源として例えばベジタリアン向けのサプリメントの利用が推奨されます。
(ときどきビーガン食/ベジタリアン食を摂るという場合は,特に心配はありません。)
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