今月の小児科学の専門ジャーナル(電子版)に、小児において、血圧調節に対するダークチョコレート投与の妥当性(実現可能性)を調べた予備的な臨床研究が、オーストラリアのグループ(Royal Children's Hospital, Parkville, Victoria)から報告されていました。
(
Arch Dis Child. 2012 Jun 9.)
チョコレートには、カカオポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの抗酸化作用を介した機能性が注目されています。
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。
健康増進・疾病予防という目的では、カカオの含有量が多いダークチョコレートの摂取がポイントです。
なお、これらの研究は、軽症高血圧あるいは正常の健常者を対象にしてきました。
したがって、小児におけるダークチョコレート投与による血圧調節の意義は、(十分な研究データがないために)不明です。
そこで、今回の研究では、小児の血圧に対するダークチョコレート投与の妥当性/実現可能性の検証(フィージビリティスタディ)が行われました。
(成人の高血圧症は、小児の時の血圧値にも関連するため、小児での予防や改善が重要であるという考えに基づいています。)
具体的には、10歳から12歳までの小児194名を対象に、
・1日あたり7グラムのダークチョコレート投与群(n=124)
・対照群(n=70)
の2群について、
7週間の介入試験が行われています。
介入の結果、
両群とも、
収縮期血圧(mean difference 1.7 mm Hg, 95% CI -0.6 to 4.1)
拡張期血圧(-1.2 mm Hg, 95% CI -3.6 to 1.3)
は同程度であり、
身体測定やウェルビーングといったアウトカムも同様でした。
以上のデータから、
論文著者らは、
(通学中の)学童期の小児に対して、
ダークチョコレートによる介入試験は実現可能性があると考えられ、
今後、抗酸化作用を介した有用性について、適切な用量用法による検証が推奨される、
と考察しています。
今回の研究は、実現可能性を探索した、フィージビリティスタディです。
したがって、有効性(この場合は高血圧に対する降圧作用)を検出しようという目的ではありません。
今後、小児高血圧症の患者を対象に、ダークチョコレートによる介入の有効性・安全性・経済性の検証が必要と考えられます。
(日本でそのような研究が行われる可能性は低いですが。)
チョコレートには、カカオ豆由来の抗酸化成分・カカオポリフェノールが含まれており、動脈硬化抑制作用を介した機能性が知られています。
近年、欧米の研究室を中心に、年に1回くらいの頻度で、ダークチョコレートの摂取による高血圧改善作用を示したランダム化比較試験が報告されてきました。
(カカオポリフェノールは、ダークチョコレートには豊富に含まれていますが、ホワイトチョコレートには含まれません。)
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