今月の感染症学の専門ジャーナル(電子版)に、小児において、血中ビタミンD値と、冬季の上気道ウイルス感染症リスクとの関連を調べた研究が、カナダのグループ(Hospital for Sick Children)から報告されていました。
(
Clin Infect Dis. 2013 May 15.)
さまざまな生活習慣病や慢性疾患において、血中ビタミンDの低値が見出されており、
ビタミンDサプリメント投与による改善作用が知られています。
さて、今回の研究では、
小児において、
血中ビタミンD値(25[OH]D)と、(臨床検査で確定診断された)ウイルス性呼吸器感染症(上気道感染症)リスクとの関連が検証されました。
具体的には、
2008年12月22日から、2009年6月23日までの間に、
カナダのフッター派(Hutterite)コミュニティでの3歳から15歳までの小児743名を対象に調査が行われています。
フォローアップ中、229名(31%)が、1回以上の上気道感染症を発症しました。
(臨床検査データにて、ウイルス性上気道感染症と確定診断。)
解析の結果、
若年者ほど、
また、
血中ビタミンD値が低いほど、
ウイルス性上気道感染症リスクが高い、
という相関が認められたということです。
血中25(OH)D値が75 nmol/L以下のとき、
ウイルス性上気道感染症リスクが50%増加しました。
(HR 1.51, 95% CI 1.10, 2.07, p=0.011)
また、
50 nmol/L以下では、
70%近いリスク増加が認められています。
(HR 1.67, 95% CI 1.16, 2.40, P=0.006)
以上のデータから、
15歳以下の小児では、
血中ビタミンD値が低いほど、
冬季のウイルス性上気道感染症リスクが高くなることが示唆されます。
今後、介入試験による検証が期待されます。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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