精神薬理学の専門誌に、ピクノジェノールによる高齢者の認知機能改善作用を示した臨床研究が、オーストラリアのグループから報告されていました。
(
J Psychopharmacol. 2008 Jul;22(5):553-62.)
ピクノジェノールは、フランス海岸松の樹皮抽出物です。
多くのフラボノイド類を含み抗酸化作用を示すことからアンチエイジングサプリメントとして広く利用されています。
今回の研究では、健康な高齢者において、ピクノジェノールの抗酸化作用が認知機能にどのような働きを及ぼすか検討されました。
60歳から85歳の高齢者101名を対象に、1日あたり150mgのピクノジェノールを3ヶ月間投与し、投与前、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月の時点で、認知機能(記憶力や注意力の指標)が測定されました(二重盲検偽薬対照試験)。
(ピクノジェノール投与群と対照群では、年齢や性別、BMI、摂取栄養素量などを一致させています。)
各種の認知機能が測定された結果、ピクノジェノール投与によって、酸化ストレスマーカー(F2-イソプロスタン)の有意な減少、ワーキングメモリーの改善といった作用が認められたということです。
酸化ストレスマーカーのF2-イソプロスタンは、神経細胞膜などに含まれる不飽和脂肪酸が酸化されることで生じます。
ピクノジェノールの摂取によって、神経細胞膜における酸化が抑制され、記憶力などの認知機能の維持・改善をもたらすことが示唆されます。