今月のがん専門誌に、がん生存者(cancer survivors)の間におけるサプリメントの利用状況が、米国のグループから発表されていました。
(J Cancer Surviv. 2008 Sep;2(3):138-48.)
今回の研究では、65歳以上で、5年間以上のがん生存者753名(乳がん、前立腺がん、大腸がんの生存者)を対象として、サプリメントの利用状況が調査されています。
サプリメントの利用状況に加えて、各種の栄養素の摂取状況、Healthy Eating Index (HEI)などの指標が調べられました。
その結果、がん生存者の74%がサプリメントを利用しており、その内訳はマルチビタミンが60%、カルシウム・ビタミンDが37%、抗酸化物質30%などでした。
サプリメントの利用者は、HEIにおいて有意に好ましい状況であったということです。
サプリメント利用と、70歳以上の高齢者(オッズ比1.70)、女性(オッズ比1.49)が正の相関にあり、喫煙者(オッズ比0.40)が負の相関にありました。
また、果物や全粒穀類の摂取との相関も認められています。
その他、教育水準の高い群においてサプリメントの利用が有意に高いことが示されています。
以上のデータから、サプリメントの利用によって栄養素の不足リスクを軽減でき、各種の健康指標の改善も期待できると考えられます。
ただし、がん生存者におけるサプリメント利用に際しては、医療従事者との十分なコミュニケーションが大切です。
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