今月の栄養学の専門誌に、フラボノイドの摂取による脳卒中と心臓病のリスク低減効果を示した研究が発表されていました。
(Br J Nutr. 2008 Oct;100(4):890-5.)
フラボノイド類は、ファイトケミカルの1種で、多くの植物性食品に含まれます。
抗酸化作用を有しており、動脈硬化性疾患の予防効果が期待される機能性成分です。
今回の研究は、フラボノイドの摂取量と動脈硬化性疾患の発症との関連を調べる目的で、42歳から60歳までのフィンランドの男性1,950名を対象に調査が行われています。
フラボノイドについては、大きく5種類(フラボノール、フラボン、フラバノン、フラバン3オール/カテキン、アントシアニン)に分類され、合計26種類のフラボノイド類の摂取量と、疾患のリスクとの関連が解析されました。
(フラボノイド類は数千種類以上知られており、それぞれが化学構造式に基づき分類されています。)
平均15.2年間のフォローアップ期間中、脳卒中の発症が102例、心臓病による死亡が153例、認められました。
年齢やBMI、血圧、脂質マーカー、飲酒・喫煙歴、家族歴といった因子で補正後、フラボノールとフラバン3オールの摂取量が最も多い群(4分位数)は、最も少ない群に比べて、脳卒中のリスクがそれぞれ45%、41%低かったということです。
また、心血管疾患による死亡のリスクは、フラバノンとフラボンの摂取が最も多い群において、それぞれ46%、35%低いという結果になっています。
以上のデータから、フラボノイド類の摂取が多いと、脳卒中や心臓病など動脈硬化性疾患のリスクが低下すると考えられます。
今回の調査研究は、フラボノイドの種類別に、疾病リスク低減という機能性を示した点が興味深いと思います。
|