今月の薬学の専門ジャーナルに,プロポリスによるインスリン抵抗性改善作用を示した基礎研究が,岡山大学のグループから報告されていました。
(
Yakugaku Zasshi. 2010 Jun;130(6):833-40.)
プロポリスとは,蜜蜂が樹木から集めた植物成分に,蜜蜂の分泌物が合わさって作られた物質です。
主な成分はフラボノイド系ファイトケミカルであり,殺菌作用や抗酸化作用が知られています。
(プロポリスの含有成分は,地域の植生によって異なります。)
今回の研究では,2型糖尿病モデルラットを用いて,プロポリスによる糖代謝への影響が検証されました。
具体的には,OLETFラット(10週齢)に,プロポリスを100mgあるいは300 mg/kg体重の用量で4週間経口投与し,インスリン抵抗性などの指標が測定されています。
その結果,対照群に比べて,プロポリス投与群において,血中インスリン値およびインスリン抵抗性(HOM-IR)の有意な低下(改善),収縮期血圧の低下傾向が認められたということです。
また,摘出腸管膜動脈血管床を用いた実験系では,プロポリス投与によって,交感神経性の血管収縮反応の有意な低下が示されています。
その他,CGRP(calcitonin gene-related peptide)神経を介した血管弛緩反応への作用も示唆されています。
ただし,プロポリスは,ノルアドレナリンに対する血管反応への影響は認められていません。
以上のデータから,プロポリスによる糖代謝改善,インスリン抵抗性改善作用が示唆されます。
今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。
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