今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,老人養護施設(ナーシングホーム)におけるビタミンDの利用を推奨した論文が,カナダのグループ(University of Alberta)から報告されていました。
(
Mol Nutr Food Res. 2010 May 3.)
ビタミンDは,骨代謝に関与する必須栄養素の一つです。
近年の研究では,ビタミンDによる免疫賦活作用や抗がん作用が示唆されており,単に欠乏症を予防するための用量ではなくて,比較的高用量の摂取も推奨されています。
さて,今回の研究では,ビタミンD不足を生じやすい老人養護施設の入居者を対象に,1日あたり2000 IUのビタミンD3投与によって,25OHビタミンD3の値が正常化するかどうか,検討されました。
(血中25ヒドロキシビタミンD / 25-OHビタミンDはビタミンDの代謝産物で,総ビタミンD量を反映する指標です。)
(ちなみに,活性型ビタミンD は,1α,25-(OH)2ビタミンD。)
具体的には,入居者68名を対象に,2000IU/日のビタミンD3が5ヵ月以上投与されています。
5ヶ月間の投与の結果,被験者の94.1%が,血中25(OH)D(3)値が80 nmol/L以上となり,特に有害事象は認められていません。
論文著者らは,
十分な量のビタミンDは健康保持や疾病予防に有用であることから,(潜在的にビタミンDが不足しがちな)老人養護施設の入居者には,(特別の禁忌ではない限り)1日あたり2000 IUのビタミンDのサプリメントを投与するべきである,
と考察しています。
(日本人の食事摂取基準による設定は,少なめです。)
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