消化器病学の専門ジャーナルに,セミベジタリアン食によるクローン病の再発予防効果を示した臨床研究が,日本のグループ(中通総合病院)から報告されていました。
(
World J Gastroenterol. 2010 May 28;16(20):2484-95.)
クローン病は,潰瘍性大腸炎とともに炎症性腸疾患に分類される難治性疾患です。
医薬品など内科的治療の他,食事療法も行われます。
今回の研究では,クローン病が寛解した患者におけるセミベジタリアン食の効果が検証されました。
具体的には,臨床的に寛解したクローン病患者成人22名を対象に,2年間の前向き研究として行われています。
(22名のうち,内科的治療は17名,外科的治療は5名にて寛解。
被験者は,入院加療中に,セミベジタリアン食を摂取し,炎症性腸疾患にとってリスクの高い食材を避けるように食事指導が行われています。)
主エンドポイントはクローン病の再発です。
セミベジタリアン食摂取群(16名)と,非ベジタリアン食摂取群(6名)の2群について,2年間のフォローが行われた結果,
寛解を維持した被験者の割合は,セミベジタリアン食摂取群では16名中15名(94%)であったのに対して,非ベジタリアン食摂取群では6名中2名(33%)であったということです。
セミベジタリアン食投与群での寛解率は,1年間では100%,2年間では92%でした。
非ベジタリアン食摂取群に比べて,セミベジタリアン食投与群では,クローン病再発予防に関して有意な効果が認められています(P = 0.0003, log rank test)。
また,セミベジタリアン食投与群で寛解中の被験者では,半数以上が,CRP(炎症マーカー)値が正常範囲内でした。
(CRPが正常範囲内の被験者は,試験期間中では15名中9名,60%。フォローアップ中では12名中8名,67%,2年間の試験完了時では10名中7名,70%。)
なお,非ベジタリアン食の摂取に伴う有害事象は認められていません。
以上のデータから,セミベジタリアン食は,非ベジタリアン食に比べて,クローン病の再発予防に有用であると考えられます。
ちなみにこの試験で用いられたセミベジタリアン食は,(日本での研究ですので)和食です。
(セミベジタリアン食というよりは,肉魚を控えた和食という感じで,マクロビオティック系の印象です。)
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