今月の臨床医学系の専門ジャーナルに,マグネシウムの経口摂取によるインスリン抵抗性および脂質代謝の改善作用を示した臨床研究が,ギリシャのグループ(Aristotle University of Thessaloniki)から報告されていました。
(
Med Sci Monit. 2010 Jun 1;16(6):PI13-18.)
これまでの疫学研究によって,食事由来のマグネシウムの摂取が低いと,インスリン抵抗性のリスクやメタボリック症候群のリスクが高まるという相関が示されています。
そこで,今回の研究では,マグネシウムサプリメントの経口摂取によるインスリン抵抗性および脂質代謝への影響が検討されました。
具体的には,被験者48名を対象に,
(1)1日あたり600mgのマグネシウム(ピドロ酸マグネシウム)投与+生活習慣改善指導群
(2)生活習慣改善指導のみの群
の2群に分けて12週間の介入試験が実施されています。
脂質代謝および糖代謝関連指標が解析された結果,マグネシウム投与群では投与前後の比較でインスリン感受性の改善が認められたのに対して,生活習慣指導のみの介入群では有意差は認められていません。
また,総コレステロール,LDL,中性脂肪の低下,HDLの上昇がマグネシウム投与群では介入前後で認められたということです。
(対照群では変化無し。)
以上のデータから,論文著者らは,マグネシウムサプリメントは,軽症高血圧患者において,インスリン感受性の改善や脂質代謝の改善をもたらす効果があると考察しています。
(マグネシウムは,サプリメントや医薬品の成分として用いられています。サプリメントでは,マルチミネラルに含まれる他,骨代謝にも重要であることから,カルシウム/マグといったサプリメントがあります。)
なお,(今回の研究では有意差が見出されていませんが) 一般には,生活習慣指導のみの介入でも,一定の効果が期待できますので,「単にマグネシウムを摂ればいい」ということにはならないと思います。
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