栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,亜鉛による抗炎症作用を示した予備的な臨床研究が,米国のグループ(Wayne State University)から報告されていました。
(
Am J Clin Nutr. 2010 Apr 28)
脳血管疾患や心疾患などの動脈硬化性疾患のリスクとして,慢性炎症や酸化障害が知られています。
亜鉛は,抗炎症作用および抗酸化作用を有する必須栄養素(ミネラル)です。
今回の研究では,動脈硬化に関連したサイトカイン類など指標が亜鉛投与によって影響されるかどうか,検討されています。
具体的には,健康な高齢者(56〜83歳)40名を対象に,1日あたり45mgの亜鉛あるいは偽薬が6ヶ月間投与されました。
(ランダム化偽薬対照二重盲検法)
亜鉛投与の結果,偽薬に比べて,血中高感度CRP(hsCRP),IL-6,MCP-1(macrophage chemoattractant protein 1),VCAM-1 (vascular cell adhesion molecule 1),phospholipase A2,MDA+HAE(malondialdehyde and hydroxyalkenals)の値に有意な低下が認められたということです。
(亜鉛投与群では,血中亜鉛濃度の増加が見出されています。)
回帰分析によると,血中亜鉛濃度と,hsCRP,MCP-1,VCAM-1,MDA+HAEとは負の相関が示されました。
その他,培養細胞を用いた実験では,亜鉛によって,TNF-α,IL-1beta,VCAM-1,MDA+HAEの産生減少,NF-κB活性の亢進が認められました。
以上のデータから,亜鉛による抗炎症作用および抗酸化作用を介した動脈硬化抑制効果が示唆されます。
亜鉛は,牡蠣などの食材に含まれていますが,食生活のパターンによっては不足しがちです。
(近年,亜鉛の摂取不足による味覚障害が増えています。)
サプリメントとしての亜鉛は,
マルチミネラルに含まれている他,
亜鉛を主成分とした製品もあります。
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