今月の循環器薬理学の専門ジャーナル(電子版)に,ピクノジェノールが高血圧患者における腎機能を保護するかどうか,検討した臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(J Cardiovasc Pharmacol Ther. 2010 Jan 22)
ピクノジェノールは,フランス海岸松に由来するフラボノイドを主成分とする機能性食品成分です。
抗炎症作用や抗酸化作用を介して,病気の予防や症状の改善に効果が期待されています。
今回の研究では,高血圧治療薬であるACE阻害剤(ramipril)を服用している高血圧患者で,腎障害初期の所見が認められる被験者を対象に,ピクノジェノールの作用が検討されました。
具体的には,ラミプリル(ramipril) 10mg/日の単独投与群26名,ACE阻害剤+ピクノジェノール投与群29名の2群について,6ヶ月間の介入試験が行われています。
その結果,試験終了時には,両群とも収縮期血圧および拡張期血圧の低下が認められました。
このとき,ACE阻害剤にピクノジェノールを併用投与群では,拡張期血圧がさらに有意な低下を示したということです。
本研究の目的である,ピクノジェノール投与による腎臓保護作用に関しては,まず,ACE阻害剤投与群では,尿中アルブミン値は,87± 23 から 64 ± 16 mg/dへと低下(改善)しています。
一方,ピクノジェノール併用群では,91 ± 25 から 39 ± 13 mg/day へと有意な低下(改善)(P < .05)が認められました。
血中クレアチニン値は両群において低下しましたが,ピクノジェノール併用群において有意な低下が示されています。
また,CRP値は,ACE阻害剤単独群では,2.1 から 1.8へ低下し,ピクノジェノール併用群では,2.2 から 1.1へと有意に低下(改善)しました。
その他,カラードップラー法にて測定された腎皮質血流速度は,ACE阻害剤の6ヶ月間の投与群では,収縮期および拡張期ともに上昇していたのに対して,ピクノジェノール併用群では,さらに有意な上昇が認められたということです。
具体的には,ピクノジェノール併用群では,ACE阻害剤単独投与群に比べて,拡張期フローは8%,収縮期フローは12%上昇しています。
以上のデータから,ピクノジェノールは,降圧剤服用中の高血圧患者における腎障害の進行を抑制することが示唆されます。
機能性食品素材・サプリメントの治療医学への応用という視点から興味深いデータです。
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