眼科学の専門ジャーナルに,アポリポタンパクEの遺伝子変異と,網膜のルテイン/ゼアキサンチンの関係を調べた研究が,アイルランドのグループから報告されていました。
(
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2010 Jan 27.)
高齢者の失明の原因として,加齢性黄斑変性症(AMD)が知られています。
カロテノイド系ファイトケミカルのルテインとゼアキサンチンは,生体内では網膜に分布し,これらのカロテノイドはAMDのリスクを低減します。
アポリポタンパクE(ApoE)は,ルテインとゼアキサンチンの輸送に関係するアポリポタンパク質の一つです。
さて,今回の研究では,健康な成人302名(平均年齢47.89歳)を対象に,ApoEの個人差(遺伝子多型)と,網膜の黄斑色素光学密度(MPOD)との関係が調べられています。
ApoEの遺伝子多型によって,被験者を
グループ1:ε2/ε2,あるいは2/3
グループ2:ε3/ε3
グループ3:ε2/ε4あるいはε3/ε4,あるいは4/4
の3群に分けて解析した結果,ApoE遺伝子多型とMPODとの間には有意な相関が認められたということです。
(年齢,性別,BMI,喫煙歴,食事と血中のL/Zで補正)
具体的には,ε4のアリルを有すると,MPODが有意に高いという相関が示されました。
(Group 1 MPOD Area: 0.70 ± 0.40; Group 2 MPOD Area: 0.67 ± 0.42; Group 3 MPOD Area: 0.85 ± 0.46 ; One way ANOVA p = 0.014)
以上のデータから,ApoE遺伝子多型とMPODが有意に相関し,網膜のルテイン/ゼアキサンチン値の個人差を生じると考えられます。
したがって,理論的には,ApoEのε4アリルを持たない人は,ルテイン/ゼアキサンチン値が低くなり,AMDのリスクが高くなると考えられます。
そこで,サプリメント/健康食品を個別化医療に応用するという視点から,特定の遺伝子多型の人には
ルテインサプリメントを積極的に推奨することができます。
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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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