栄養学の専門ジャーナルに,ノコギリヤシおよびカボチャ種子による前立腺肥大症の症状改善作用を示した臨床研究が,韓国のグループから報告されていました。
(
Nutr Res Pract. 2009 Winter;3(4):323-7.)
前立腺肥大症は,加齢に伴って多くの男性に生じる疾患です。
統合医療によるアプローチでは,医薬品よりも副作用が少ない生薬を含むサプリメントが好んで用いられます。
前立腺肥大症に対しては,ノコギリヤシやカボチャ種子に由来する成分の有効性が示されており,サプリメント/健康食品(
ノコギリ椰子,
カボチャ種子油)として広く利用されています。
今回の研究では,前立腺肥大症の患者47名(平均年齢53.3歳,IPSSが8以上)を対象に,ノコギリヤシあるいはカボチャ種子の効果が検証されました。
(ランダム化二重盲検偽薬対照試験として実施。)
被験者は,次の各群に分けられ,12ヶ月間の投与試験が行われています。
グループA 偽薬 320mg/日
グループB カボチャ種子油 320mg/日
グループC ノコギリヤシ 320mg/日
グループD カボチャ種子油320mg/日+ノコギリヤシ320mg/日
アウトカム指標として,IPSS,QOL,前立腺容積,最大尿流率などが測定されました。
その結果,投与開始3ヵ月までに,実薬群(グループB,C,D)では,IPSSの低下(改善)が認められています。
QOL(生活の質)スコアは,投与前に比べて,グループDでは6ヶ月後,BとCでは3ヶ月後に改善が示されました。
血中PSA(前立腺特異抗原)は,3ヶ月後のグループDにおいて低下しました。
一方,前立腺容積は,すべての実薬群において有意な差は認められていません。
最大尿流率は,グループBおよびCにて徐々に改善し,グループBは6ヶ月後,グループCは12ヶ月後にそれぞれ有意な改善が示されています。
以上のデータから,ノコギリヤシおよびカボチャ種子油は,前立腺肥大症に対する補完療法として一定の効果が期待でき,認容性も高いと考えられます。
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