生薬研究の専門ジャーナルに,マリアアザミによる肝疾患への効果についてのレビュー論文が,イタリアのグループ(University 'Magna Graecia')から報告されていました。
(
Phytother Res. 2010 Jun 7.)
マリアアザミ(英名Milk thistleミルク・シスル,学名
Silybum marianum)は,キク科の生薬で,種子の抽出物に含まれるシリマリンsilymarinが肝臓保護作用を示すことが知られています。
米国での使い方の一つとして,医薬品の摂取に伴う副作用である肝障害に対して,マリアアザミのサプリメントを併用することで,医薬品による肝毒性を軽減させる,という方法があります。
(例えば,アセトアミノフェンとマリアアザミの併用などです。アセトアミノフェンは,肝毒性を有する医薬品の代表格です。)
さて,今回の生薬研究のレビューによると,マリアアザミは,肝疾患治療の分野で最もよく研究されてきたハーブ/薬用植物ということです。
(日本では,肝臓対策のサプリメントとしては,マリアアザミよりも,ウコン/クルクミンのほうが広く認知されているかもしれません。)
これまでの研究では,マリアアザミの有効成分として,種子抽出物に含まれる3種類のフラボノリグナン類(silybin, silydianin, silychristin)/シリマリン(3種類の総称)が見出されています。
(シリマリンは,マリアアザミの全草に存在しますが,特に種子や果実に多く含まれます。)
このうち,Silybinの生物活性が最も高く,シリマリンの50-70%を占めるとされています。
シリマリンは,抗酸化作用を有し,フリーラジカルを補足し,脂質酸化を抑制する作用を介して,繊維化活性を抑えることが知られています。
また,肝毒性を有する分子が,肝細胞膜上の受容体へ結合するのを阻害することで,肝保護作用を示すと考えられます。
非臨床研究では,シリマリンは,アセトアミノフェンや四塩化炭素,放射線,鉄の過剰,フェニルヒドラジン,アルコール,冷虚血,キノコ(Amanita phalloides)中毒に対して,肝保護作用を示します。
また,アルコール性肝障害,急性/慢性ウイルス性肝炎などにおける補完療法としても用いられます。
(なお,完治が見込める標準治療が確立している場合にはそちらが優先されます。)
日本では,肝臓対策/飲酒対策=ウコンというイメージですが,アルコールも含めてケミカルな物質による肝毒性に対しては,マリアアザミのほうが,エビデンスの構築が進んでいます。
DHC製品にも,
マリアアザミを主成分とする複合サプリメントがあります。
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