肝臓病学の専門ジャーナルに,C型肝炎ウイルスに対するマリアアザミ(シリマリン)の作用を検証した研究が,米国のグループ(University of Washington)から報告されていました。
(
Hepatology. 2010;51:1912-21.)
昨日のブログでも述べましたように,マリアアザミ(英名Milk thistleミルク・シスル,学名
Silybum marianum)の種子の抽出物に含まれるシリマリンsilymarinは,肝臓保護作用を示すことが知られています。
これまでに,予備的な臨床研究でも,ウイルス性肝炎に対してマリアアザミの効果を示唆するデータが報告されています。
さて,今回の研究では,シリマリンのC型肝炎ウイルスに対する作用メカニズムが調べられました。
具体的には,培養細胞系を用いて,感染抑制メカニズムを解析した結果,シリマリンによる抗C型肝炎ウイルス作用として,ウイルスの侵入抑制,RNA発現およびタンパク質発現の抑制,感染性ウイルス産生の抑制などが見出されました。
ウイルス感染の成立には,標的細胞に対するウイルスの付着と侵入の2段階があります。
シリマリンは,C型肝炎ウイルス(HCV)の細胞への付着は阻害しませんでしたが,細胞内へのウイルスの侵入を阻害したということです。
シリマリンが細胞から細胞へのウイルス感染を抑制する作用も示されました。
一方,シリマリンは,HCV遺伝子型2aの(HCV 複製を行うRNA依存性RNAポリメラーゼの)NS5B活性を抑制するためには比較的高濃度が必要という結果になっています。
また,HCV感染患者由来の1bのBK株および1bのRNA依存性 RNAポリメラーゼ (RdRP)の抑制には,シリマリンは十分な活性を示していません。
以上のデータから,論文著者らは,マリアアザミのシリマリンによるNS5Bポリメラーゼ活性阻害作用が示唆されるものの,抗HCVウイルス作用の主なメカニズムは宿主細胞へのウイルスの侵入と伝搬の抑制による,と考察しています。
マリアアザミの働きに関して,作用機序を示した重要な研究データです。
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そういう効果があることを知り、マリアアザミを購入しようかどうか考えています。