臨床栄養学の専門ジャーナルに,ビタミンD3サプリメントによるインフルエンザA型の予防効果を示した臨床研究が,慈恵医大のグループから報告されていました。
(
Am J Clin Nutr. 2010;91:1255-60.)
ビタミンDは,骨の健康維持に重要な必須栄養素として知られています。
近年の研究では,ビタミンDの多彩な作用が明らかとなり,免疫賦活作用・感染症予防作用・各種の生活習慣病のリスク低減作用が報告されています。
今回の研究では,学校児童を対象に,ビタミンDサプリメント投与による季節性インフルエンザ(A型)に対する作用が検証されました。
具体的には,2008年12月から2009年3月まで,ランダム化二重盲検偽薬対照試験として,ビタミンD3(1200 IU/日)投与群と偽薬群との比較が行われています。
A型インフルエンザの発症は,
ビタミンD3投与群では167名中18名(10.8%)であり,
偽薬投与群では167名中31名(18.6%)でした。
ビタミンD投与によって,インフルエンザ罹患率が42%低下しています。
(RR 0.58; 95% CI: 0.34, 0.99; P = 0.04)
A型インフルエンザのリスク低減効果は,ビタミンDサプリメントを摂取したことがない小児の群において,より顕著でした(RR: 0.36; 95% CI: 0.17, 0.79; P = 0.006)。
また,3歳児以降に保育園に通園した小児でも顕著な効果が認められています(RR: 0.36; 95% CI: 0.17, 0.78; P = 0.005)。
喘息の既往歴のある小児を対象にしたサブ解析では,喘息発作を生じた被験者は,ビタミンD投与群では2名,偽薬投与群では12名であり,ビタミンD投与群において有意に少なくなっています(RR: 0.17; 95% CI: 0.04, 0.73; P = 0.006)。
以上のデータから,ビタミンD3サプリメント(1200 IU/日)を冬季に投与することで,インフルエンザ罹患率の低下作用が期待されます。
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