線維筋痛症とは、全身の広範囲にわたる慢性疼痛を特徴とする原因不明の疾患です。
今月発刊された米国国立補完代替医療センター(NCCAM)のニュースレターに、線維筋痛症と補完代替医療(CAM)についての記事が掲載されていました。
まず、線維筋痛症の患者では、次のようなCAMが利用されているということです。
鍼
バイオフィードバック
カイロプラクティック
催眠療法
マグネシウムサプリメント
磁気療法
マッサージ療法
SAMe(S-Adenosyl-L-Methionine)サプリメント
太極拳
以上は、米国の患者が利用しているという調査で、有効性や安全性に基づく推奨ではありません。
では、科学的根拠という見地からでは、どのようなCAMが線維筋痛症に利用できるのでしょうか。
CAMと線維筋痛症のレビューによると、多くのCAM療法では限られたデータしか報告されていないのが現状です。
まず、鍼治療では、効果を認めたとするデータがある一方、有意な効果を示さなかったという報告もあります。
また、患者の一部ではマグネシウムの低下が認められることからマグネシウムサプリメントの投与が行われますが、効果については明確な結論が得られていません。
(予備的な臨床研究では対立するデータになっています。)
マッサージ療法については、ある程度の改善作用を有するという報告もありますが、効果は短期間に限られるとされています。
アミノ酸の1種、SAMeのサプリメントでは明確な結論は得られていません
(ある程度の有効性を示唆するデータもあります。)
その他、現時点では、線維筋痛症に対して、バイオフィードバック、カイロプラクティック、催眠療法、磁気療法などのエビデンスは明らかではありません。
線維筋痛症に対しては、いくつかのCAMを組み合わせて、補完療法として用いることが選択肢の一つと考えられます。
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