今月の栄養学の専門ジャーナルに、食事のスピードと抗肥満作用の関係を検討したヒト臨床研究が、米国のグループから報告されていました。
(J Am Diet Assoc. 2008 Jul;108(7):1186-91.)
一般に、「肥満予防のために、早食いは避けましょう」というアドバイスがあります。
今回の研究では、健康な女性30名(平均年齢22.9歳、BMI 22.1)を対象に、食事のスピード(食べる速さ)と満腹感の相関が調べられました。
ゆっくり食べた時と早食いの時で、空腹感、満腹感、食欲、口渇感などがVASで比較された結果、食事をゆっくり摂るほうが、早く食いに比べて、摂取エネルギー量が有意に低いことが示されました。
(摂取エネルギー量: ゆっくり摂った時; 579.0±154.7 kcal、早食い時; 645.7±155.9 kcal、P<0.05)
また、飲水量は、ゆっくり摂った時に有意に増加しています。
(飲水量: ゆっくり摂った時; 409.6±205.8 g、早食い時; 289.9±155.1 g、P<0.05)
さらに、ゆっくり摂った時に比べて、早食い時では、摂取エネルギー量が有意に多いにもかかわらず、満腹感は有意に低かったということです。(P<0.05)
同様に、満腹感を示す指標(Satiating Efficiency Index)においても、早食い時には有意に低い値になっています。
以上のデータから、「肥満の予防のために、ゆっくり食べましょう」というアドバイスが支持されます。
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