皮膚科学の専門誌に、海水に由来する成分によるアトピー性皮膚炎の改善作用を示した研究が報告されていました。
(Int J Dermatol. 2005;44:151-7.)
一般に、海水に豊富に含まれるマグネシウム塩は、炎症性疾患に対して好ましい作用を示すことが知られています。
この研究では、死海の深層から採取された塩化マグネシウムの豊富な塩を用いて、アトピー性皮膚炎に対する効果が検討されました。
被験者は、アトピーよる乾燥肌の症状を呈しています。
実験の方法は、死海由来の塩を5%含む溶液(bath solution)に、片方の腕を15分間浸し、対照として、もう片方の腕を水道水に浸すというものです。
乾燥肌およびバリア機能の指標として、実験の前後(実験前と1−6週間後)で、経皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚の水分量や肌質、発赤の程度などが測定されました。
その結果、試験前にTEWLが高値であったサブグループにおいて、水道水に比べて、死海の海水由来成分による皮膚バリア機能の有意な改善が認められたということです。
また、いずれのサブグループにおいても、皮膚の水分量は、水道水に比べて、海水に浸した群で増加しており、保湿効果が示唆されます。
さらに、海水による肌質や発赤の改善も認められました。
以上のデータから、水道水に比べて、海水の成分は、皮膚に対する保湿効果および抗炎症効果を有すると考えられます。
論文著者らは、作用機序としてマグネシウム塩による働きを考察しています。
なお、一般の海水浴では、紫外線による肌への障害が考えられますので、必ずしも好ましいわけではありません。
一方、この論文では、海水成分による皮膚への効果が示されていますので、例えば、タラソテラピーで用いられる海水プール等による効果が期待できます。
|
海水を利用したパックなんかあったら利用してみたいですね。
日焼けした肌によさそう。