サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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清涼飲料水とベンゼンについて(2) [2006年07月31日(月)]
昨日に引き続いて、弊社製品「アロエベラ」とベンゼンの件について述べさせていただきます。


まず最初に、

【弊社製品「アロエベラ」摂取による健康への影響は、まったくございません】

ということをご理解ください。


マスコミの多くでは、厚生労働省の発表を受けて、事実関係を中立的に正確に伝える報道がみられました。
厚生労働省の発表資料でも、「状況について、正確な報道を」と記載されています。


ただ、残念ながら、一部の報道ではセンセーショナルな見出しが用いられたため、誤解を生じてしまったようです。

弊社製品をご利用の皆様にご心配をおかけして申し訳ございません。



そこで、再度、ご説明申し上げます。

日常生活を送る上で、私たちは、ベンゼンに暴露し、摂取していることがわかっています。
摂取するベンゼンのほとんどは、大気中(環境中)に由来します。

ヒトは1日あたり『220マイクログラム』のベンゼンを摂取するという計算があります。
そのうち、飲食物由来のベンゼンは、わずか『数マイクログラム』です。
ほとんどのベンゼンは、自動車の排気や喫煙(受動的喫煙も含みます)といった大気中に由来します。


弊社のアロエベラ製品に見出されたベンゼンは、一日にお召し上がりいただく目安量で換算しますと、『1.47マイクログラム』から最大で『4.41マイクログラム』です。

環境への暴露によって1日に摂取する『220マイクログラム』と比べると、飲食物由来のベンゼンによる影響は、非常に低いことがご理解いただけると思います。



米国では、今年の春頃に「清涼飲料水中のベンゼン」について話題になりました。

多くの人々が日常摂取するコーラ類やオレンジジュース、ダイエット飲料などの一部にベンゼンが検出されたからです。

弊社「アロエベラ」は、ふだんの生活で多量に摂取する飲料ではありません。

一方、米国での調査では、日常生活で比較的多量に飲料として摂取する製品が少なからず含まれていたため、話題になりました(米国FDA資料・清涼飲料水中のベンゼン)。

しかし、その後の米国FDAによる詳しい検討の結果、健康への影響はないと公式に発表されています。(米国FDA資料

また、米国以外でも同様の見解が発表されています。



現在、弊社では、厚生労働省の要請に従い、該当製品の販売を中止いたしました。
また、ご購入いただきました製品については、回収をいたしております。

該当製品をご利用いただいておりましたお客様にはご迷惑・ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
posted at 22:23 | この記事のURL
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清涼飲料水とベンゼンについて [2006年07月30日(日)]
一部マスコミ報道にありましたように、弊社の製品「アロエベラ」からWHOの基準値を超えるベンゼンが検出されたため、厚生労働省から該当製品の回収要請を受けました。
弊社では、要請を真摯に受け止め、対応いたします。


ただし、該当製品の摂取による健康への影響は、まったく考えられません。


(後述の計算のように、一日に何リットルものアロエベラを長期間摂取する、といったことのない限り、まったく問題ありません。)

理由は、

「(WHOの)ガイドライン値が飲料水を生涯摂取したときのリスクを考慮しており」、

「ガイドライン値を超える清涼飲料水をある一定量摂取していたとしても、特段の健康影響を生ずるということを意味するものではないこと」
(以上、厚生労働省)

だからです。


後述のように、ヒトにおけるベンゼンの摂取では、環境(大気)由来や喫煙に伴うものがはるかに多いことが知られています。


したがって、

「ヒトのベンゼンの摂取源の大半が環境由来(大気)であるということにより、環境由来のリスクに比して食品由来のリスクは低いものと考えられており、食品からの摂取に多少の増大があったとしても、リスクの増大への寄与は少ないものと考えられております(厚生労働省)」

とされています。



なお、米国FDA(食品医薬品局)でも、ソフトドリンク(清涼飲料)類において検出されるベンゼンについて、安全性に問題はないという通知を既に発表しています。
(米国では、コーラ類にベンゼンが検出されたため、話題になりました。)



今回の経緯は、以下のようです。


@低濃度ベンゼンの生成

本年3月以降、英米などの諸国で、清涼飲料水に保存料として利用されている「安息香酸」と、アスコルビン酸(ビタミンC)が反応することで、低濃度ながらベンゼンが生成されることが見いだされました。

英国などでは、念のため、10ppbを超える製品の回収が要請されています。
(ppb:10億分の1の分率)


A環境からのベンゼンの摂取

ベンゼンとは、工業製品の製造に利用される化学物質の一つで、環境中にも広く存在しています。
自動車の排気や石油の燃焼により環境中(大気中)に排出されるため、ヒトは呼吸によって摂取することになります。
その他、喫煙に伴う摂取も知られています。

ヒトへの摂取量は、食品からよりは、環境(大気中など)からの摂取がはるかに多いと報告されています。


これまで、次のような報告があります。
【大気】
呼吸による摂取:220マイクログラム/日
自動車に関連する摂取:32〜49マイクログラム/日

【喫煙】
喫煙:
7900マイクログラム/日(EU)
1820マイクログラム/日(カナダ)
受動的喫煙(間接喫煙):
63マイクログラム/日(カナダ)

【食品】
飲食物:0.2〜3.1マイクログラム/日(EU)
食品:1.4マイクログラム/日(カナダ)


Bベンゼンの基準値について

今回の検査で、厚生労働省が適応した判断基準は、「WHO飲料水ガイドライン(第3版)」による値です。

基準値(濃度)である10ppb(マイクログラム/L)を超える値であったため、今回、弊社製品が厚生労働省から製品回収の要請を受けました。

なお、WHOのガイドラインは「飲料水」を、一生涯という期間、摂取したときのリスクに配慮して作成された基準です。
(本邦では、清涼飲料水のベンゼンに関する法定基準値は存在していません。水道水の水質基準には10ppbの基準値があります。)

厚労省は、「飲料水」の一部が市販の「清涼飲料水」などに置き換わることを考慮し、同じ基準値を当てはめて分析しています。


英国の監督官庁によると、
「上限値である10ppbのベンゼンを含む水道水を、1日あたり20リットル摂ることによるベンゼンの摂取量」
と、
「1日あたり、大気中から吸入するベンゼンの摂取量」
が等しいということです。



C「アロエベラ」摂取の影響について

今回の「アロエベラ」を飲んできた場合の影響について考えてみたいと思います。
検出されたベンゼン濃度は73.6ppb(マイクログラム/L)(3検体の平均)でした。

「アロエベラ」に付属しているキャップは20〜30mlに相当し、摂取目安量は1〜2杯です。
つまり、1日あたり20mlから最大で60ml程度を召し上がっていることになります。

一方、ベンゼン濃度は73.6ppbですので、アロエベラ1ml中には0.0736マイクログラムのベンゼンが含まれることになります。

したがって、1日あたり(20ml〜最大60ml)換算では、
1.47マイクログラムから最大4.41マイクログラム
になります。

この値は、通常の食品由来にほぼ相当するものです。
前述のように、環境由来のリスクに比して食品由来のリスクは低いものと考えられており、今回の「アロエベラ」製品からの摂取による健康への影響はないと考えられます。

もちろん、該当製品については、厚生労働省からの要請にしたがい、対応いたします。


今回の問題は、弊社製品の製造過程で規制されている化学物質が混入したものではなく、既知の認可されている成分(安息香酸とアスコルビン酸)が、相互反応して低濃度の化学物質が生じたというケースです。

これは、今年の春以降、注目されてきた比較的新しい知見でした。
今後も医学生物学の分野では、さまざまな新しい知見が見出されてくると思います。

弊社では、今回の要請を真摯に受け止め、製品の品質管理に最新の科学的知見を反映させる努力を続けていく所存です。



posted at 14:30 | この記事のURL
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トマトやスイカの赤い色素・リコピン [2006年07月29日(土)]
昨日のブログでは、スイカのリコピンを増やす保管法を紹介しました。

今日は、リコピンの一般的な情報をみておきたいと思います。


リコピン(あるいはリコペン)は、カロテノイド系ファイトケミカル(=植物由来の抗酸化栄養素)の一種で、赤い色の色素成分です。
リコピンは、トマトやピンクグレープフルーツ、ピンクグァバ、スイカなどに含まれます。

疫学研究によって、トマトを多く摂取する地域では、前立腺がんや肺がんが少ないことが報告され、有効成分としてのリコピンが注目されるようになりました。


トマトは、夏野菜の中ではビタミンCの含有量が多いことで知られています。
トマトには、ビタミンCやカリウムなどが豊富に存在するので、健康のために好んで摂取されます。

トマトは、ビタミンやミネラルといった従来から知られている栄養素を含むだけではなく、強力な抗酸化成分であるリコピンの供給源でもあります。

トマトを多く摂取する人々の間では、がんにかかるリスクが低いことがわかっています。たとえば、トマトやトマト製品の摂取量が非常に多い北イタリアでは、口腔がん、食道がん、胃がん、大腸がんの罹患率が最大60%低いということが疫学データで示されています。
他の地域での調査によっても、トマトを多く摂取するグループは、そうでないグループに比べて、胃がん、肺がん、前立腺がんに罹る率が低いと報告されました。


トマトやスイカなど、今が旬の野菜や果物からリコピンをたくさんとることがベストです。

一方、手軽に、かつコンスタントに摂るために、必要に応じてサプリメント(リコピンマルチカロチン)を利用することもできます。


次の機会に、リコピンについての基礎研究や臨床試験をみてみたいと思います。
posted at 21:48 | この記事のURL
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西瓜(スイカ)のリコピンを増やす保管法 [2006年07月28日(金)]
西瓜(スイカ)には、赤い色素成分である「リコピン」が含まれます。
リコピンは、抗酸化作用を持ち、がん予防効果も期待されています。

スイカのリコピンを増やす保管方法がみつかりました。

最新のレポートによると、室温で保存したスイカでは、冷蔵で保管したスイカや採りたての新鮮なスイカに比べて、リコピンの量が増えているということです。

米国農務省の研究グループが、スイカを保存した場合に、リコピンなどカロテノイド類の含有量が変化するかどうか、調べました。
研究では、3種類のスイカ(種あり2種と種なし1種)について、5℃、13℃、21℃のそれぞれの温度で14日間保存し、カロテノイド類の含有量の変化が、採りたてのものと比較されました(Perkins-Veazieら)。

その結果、21℃で保管したスイカでは、新鮮なスイカに比べて、リコピンの含有量が11〜40%増えていたということです。また、βカロテンの含有量も増えています。

一方、13℃冷蔵保管では、新鮮なものと比べて、カロテノイド類の量にはほとんど変化はありませんでした。
5℃冷蔵保管では、冷蔵による傷みやカロテノイドのわずかな減少が認められました。

なお、調べられたスイカの品種は、Black Diamond、Summer Flavor、Sugar Shackの3種類です。

この研究結果からは、リコピンの生合成に関して、収穫後の保管状態(温度)が影響を与えることが示唆されます。

つまり、スイカを食べるなら、採りたてのものや冷蔵庫の中で保管したものよりも、室温で保管していたものを選ぶほうがよさそうです。

もちろん、召し上がる直前には、ちゃんと冷やしておくほうがおいしいですよね。


ところで、リコピンの供給源としては、トマト及びトマト製品が有名です。
また、リコピンは、脂溶性成分ですので、生で食べるスイカの場合、単独の吸収効率はよくないと思います。
食後なら、ある程度、期待できると思いますが。

その他、リコピンマルチカロチンといったサプリメントも利用できます。


posted at 21:48 | この記事のURL
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低グリセミック負荷指数(GL)食のダイエット効果 [2006年07月27日(木)]
低グリセミック負荷指数(GL,Glycemic Load)の食事が減量に効果的というデータが発表されました。

「内科学アーカイヴス」7月24日号に掲載された、オーストラリアの研究チームによる報告によると、低Glycemic Loadの食事が、高Glycemic Loadの食事や高タンパク質の食事に比べて、体脂肪の減量に効果的であったということです。


グリセミック指数(GI, Glycemic Index)とは、糖質に対する反応性・食後の血糖値上昇を反映する指標の一つです。
単純炭水化物(消化吸収されやすいパンやご飯、麺類などの炭水化物)は、複合炭水化物(全粒穀物など)よりも高いグリセミック指数(GI値)を示します。

ただし、食品別に示されるグリセミック指数は、個人差が大きいため、日本や米国ではあまり利用されません。
(カナダやオーストラリアでは利用されています。)


さて、今回の研究では、グリセミック指数と炭水化物摂取量から求められるグリセミック負荷指数(GL,Glycemic Load)が利用されています。
つまり、GLは、糖質の質と量を考慮した指数です。

研究では、高GL食と低GL食の2種類で、それぞれタンパク質の多い食事と通常量の食事に分けて検討が行われました。

その結果、低GL食が効率よく体脂肪を減らしたということです。

肥満予防や減量にはカロリーの摂りすぎないようにするだけでなく、糖質・炭水化物の質にも注意が必要です。
posted at 20:32 | この記事のURL
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「長生きの秘訣」と「抗加齢の方法」 [2006年07月26日(水)]
昨日のブログでは、平均余命・平均寿命のデータをご紹介しました。

では、長寿を実現できるサプリメントはあるのでしょうか?


ヒトはなぜ老化するのか、という点について、

@寿命が遺伝子に組み込まれているとするプログラム説
A活性酸素などによる遺伝子やタンパク質への障害が老化を生じるとするフリーラジカル説

などが知られています。


今のところ、「このサプリメントを摂ったことで寿命が延びた」という直接的なデータはないようです。
寿命に対する特定のサプリメントの効果について、直接的な証明のためには、サプリメントを何十年も摂り続けたグループと、そうではないグループとで比較検討する必要があるため、実施するのも困難です。


ただ、間接的には、例えば、「抗酸化作用を持つサプリメントを摂ることで、活性酸素による障害を防ぐこと」が、病気を予防し、平均余命を伸ばすことに貢献するという推察が可能です。


また、「加齢と共に減少する体内の成分」(例えば、コエンザイムQ10やメラトニンなど)をサプリメントで補うことで、抗加齢の効果が期待できるという考えもあります。


現在は、寿命そのものを伸ばすための(つまり長寿のための)サプリメントよりは、むしろ美容を重視したアンチエイジング(抗加齢)に注目が集まっているのかもしれません。

アンチエイジングも、サプリメントの訴求の大きなテーマです。

直接的な長寿の証明は困難ですが、

@抗酸化作用をもつ成分や、
A加齢に伴い減少する成分

をサプリメントとして摂ることで、アンチエイジング・抗加齢といった言葉で表現される美容面や健康面(生活の質の維持)の効果が期待できるでしょう。


もちろん、抗酸化作用により生活習慣病が予防・改善できれば、長寿という目的も達成できます(今よりもさらに医学研究が必要ですが)。

これからの課題として、長寿やアンチエイジング、抗酸化作用といったキーワードに対して、サプリメントの効果を評価するために、新しい指標(バイオマーカー)の確立が必要と考えられます。
posted at 23:54 | この記事のURL
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あと何年生きられるか? [2006年07月25日(火)]
「あと何年生きられるか」の目安の一つに「平均余命」「平均寿命」があります。

今日、厚生労働省から「平成17年簡易生命表」が発表されました。


「簡易生命表」とは、死亡状況が変化しないと仮定したときに、「各年齢の人が1年以内に死亡する確率」や「あと何年生きられるか、といった期待」を示した表です。

「あと何年生きられるか」については、簡易生命表(男)(女)の表のうち、自分の年齢に相当する欄の「平均余命」を参照してください。


「平均寿命」とは、0歳の平均余命であり、平成17年簡易生命表によると、

男性:78.53歳

女性:85.49歳

です。


これは、前年と比べて、男性は0.11年、女性は0.10年短くなっています。
また、各年齢の平均余命についても、前年に比べて、男女とも全年齢で短くなりました。

今後、健康で長生きするには、各自で工夫が必要と感じられます。


なお、発表資料には、「平均寿命の国際比較」も掲載されています。
単純比較は困難ですが、国による相違も大きく、興味深いデータです。
posted at 19:05 | この記事のURL
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27%の病院が代替医療サービスを提供 [2006年07月24日(月)]
7月19日付で発表された「アメリカ病院協会(AHA, American Hospital Association)」の調査によると、27%の病院が何らかの「代替医療」サービスを提供しているとのことです。

前回の調査では、マッサージ療法や聖職者によるカウンセリング、ストレス・マネージメント、ヨガといった代替医療サービスの提供が報告されていました。
今回も、やはり、「全人的」あるいは「mind and spirit」に関連する代替医療のサービスが増加しているようです。

特に、イリノイ州、インディアナ州、ミシガン州、オハイオ州、ウィスコンシン州といった北東部の病院が、代替医療サービス提供をリードしています。

アメリカの病院がこれらの代替医療を提供する大きな理由は、他の病院との差別化、消費者のニーズといった点にあります。
科学的根拠・エビデンスに基づく医療を重視する一方で、サービス業としての病院経営も考える点がアメリカらしいですね。

ところで、アメリカには、日本のような国民皆保険制度がありません。
代替医療サービスに関しても、その多くは、利用者である患者の自費で支払われています。


なお、サプリメントは、セルフケア/セルフメディケーションとして利用されることが多い代替医療です。
そのため、今回のように、病院が提供する(施術者を介した)サービスというランキングでは、上位に入っていません。

代替医療全般については、7/10のブログなどで述べていますので、ご参照ください。
posted at 20:33 | この記事のURL
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正確さとわかりやすさの両立 [2006年07月23日(日)]
一昨日(7/21)のブログでは、「食物繊維と大腸がんの関係」について、マスコミ報道を比べてみました。

新聞などのマスコミ記事では、限られたスペースで情報を伝えることが求められます。
特に、「見出し」の文字数はごく限られているため、「適切で」かつ「正確な」タイトルをつけるのは、容易ではないと考えられます。

(さらに、新聞では記事の入稿の「締め切り」があったり、インターネットニュースでは「速報性」が優先されたり、といったことも影響すると思います。)

このような条件のもとで、専門性の高い医学誌の内容をわかりやすく、正確に、適切に、読者に届けるのは簡単ではないでしょう。


何年か前、「ニューヨーク・タイムズ」のライター/コラムニストの講演を聞いたことがあります。
そのとき、彼女は、限られた語数の見出しや記事で、適切な内容を伝えることの困難さを語っていました。

当時、セントジョーンズワートが重症のうつ病には効果がないという論文が発表され、マスコミで取り上げられていました。
ニューヨーク・タイムズでも、(正確には覚えていませんが)「ハーブはうつ病に効果なし」といった見出しを出していたと思います。

実際には、セントジョーンズワートは、軽症から中等症のうつ病に効果的なハーブであり、重症のうつ病に効かないことはありえます。
重症うつ病は、もともと治療困難な疾患であり、有効な医薬品もあまりありません。
(なお、セントジョーンズワートが、重症のうつ病に効果を示したという報告もあります。)


それまでの臨床試験で、セントジョーンズワートが「軽症から中等症のうつ病」に対しては十分効果が期待できることがわかってしました。
一方、マスコミで報道された臨床試験では、対象となったのは、「軽症から中等症のうつ病」ではなく、治療の困難な「重症のうつ病」でした。
また、研究では、ポジティブコントロール群(効果のある治療薬を投与した群)が設定されていないといった問題もありました。

しかし、ニューヨーク多イズムを含めて、多くのマスコミの見出しが、「セントジョーンズワートはうつ病に効果がない」というものであったため、読者が誤解し、セントジョーンズワートの売り上げも減少した、ということが当時、関係者の間で話題になっていました。
(なお、講演者のコラムニストは、その記事は自分が書いたものではない、といっていましたが。)



私自身、これまでに20冊弱の本を書いてきました。
本を書くとき、医師や研究者、医療従事者向けの本であれば、専門用語をそのまま使えるので、比較的容易です。

一方、医学の専門ではない、一般の方を対象に書く場合、かなり気を使います。
医学的に正確な内容を、専門用語を使わずにわかりやすく書くことは、大変です。

本を書く場合は、ある程度のページ数が確保できますので、新聞記事よりは容易かもしれません。
新聞では、非常に限られた見出しと本文の語数という条件のため、誤解を生むような記事を見ることも少なくないように感じます。
posted at 22:02 | この記事のURL
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「食物繊維+果物」とダイエット [2006年07月22日(土)]
一昨日のブログでは、食物繊維と大腸がんの関係についての研究を紹介し、少し私見を述べました。

今日は、[食物繊維とダイエット]についての記事を紹介したいと思います。

普通体重の人は、肥満の人と比べると、「食物繊維」と「果物」を多く摂っているという研究が、アメリカ栄養士会ジャーナル(JADA)に報告されました(Davisら)。

研究では、普通体重の人と肥満の人を52名ずつ、年齢や性別、身長などが同程度になるように選び、食事内容や運動習慣について質問し、体脂肪率などが測定されました。

その結果、肥満の人は、脂肪・飽和脂肪酸・コレステロールの摂取が多く、複合炭水化物や食物繊維の摂取が少ないことが示されました。
また、食物繊維の摂取が多いほど体脂肪率が低いという相関関係が認められました。
さらに、果物の摂取量と体脂肪率とが逆比例の関係にあることも示されています。

つまり、「食物繊維」と「果物」の摂取が多いほど、「体脂肪率は低い」という関係になります。

この試験結果からは、
脂肪を摂り過ぎないこと、
食物繊維の多い複合炭水化物を摂ること、
果物を摂ること
といった食生活が肥満予防に関係するといえます。

ただし、「食物繊維」や「果物」を摂ることが直接、ダイエット・減量効果をもたらすということではありません。

この研究は、質問紙票による観察研究です。
そのため、ふだんから適正体重になるように食生活について心がけている人では、適切な食生活の結果として、食物繊維と果物の2項目に関しての有意差が示された、ということも考えられます。

「果物」には果糖などの炭水化物が含まれるため、やはり摂りすぎれば肥満になります。
特に、糖尿病や糖尿病予備軍の人では、果物の摂取量には注意が必要です。

なお、「食物繊維」は果物にも含まれます。

食物繊維が体重増加を抑制するメカニズムとして、例えば、消化吸収の過程を遅らせることで満腹感を維持すること、高食物繊維食は一般に低カロリー・低脂肪食であることなどが考えられます。

一般に、人が肥満になる理由はさまざまです。
高タンパク質・低炭水化物といった食事で減量に成功する人もいる一方で、今回のデータで示されたように、高食物繊維・高複合炭水化物食が好ましい人もいると考えられます。

最近では、高タンパク質・低炭水化物食が減量に有効であるというデータも増えつつあります。

それでも、今回の研究では、食物繊維の豊富な複合炭水化物を多く摂り、果物なども含めてバランスの取れた食事をするというオーソドックスな食事指針の大切さが確認されたといえるでしょう。

なお、食物繊維は、国民栄養調査で日本人での摂取不足が示されていますので、食事を基本にしつつ、サプリメントも利用できます。

関連したサプリメントとしては、食物繊維パーフェクト野菜DHC野菜ミックスジュースケール青汁+食物繊維などがあります。
posted at 19:30 | この記事のURL
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「食物繊維と大腸がん」のマスコミ報道 [2006年07月21日(金)]
昨日のブログでは、日本人を対象にした疫学調査から、「食物繊維と大腸がんの関係」についてみてみました。

そのとき、ブログの後半では、「ネガティブなデータがマスコミのニュースになりやすい」という私見を述べさせていただきました。

今回の「食物繊維と大腸がんの関係」についての研究では、
「食物繊維の摂取量と大腸がんリスクの関係を調べた結果、食物繊維の摂取量が多いほどリスクが低くなるという関連は認められなかった。詳しくみると、男性では有意な効果は示されなかったが、女性では摂取量が少ないとリスクが高くなることが示唆された」という内容でした。


では、このデータを、マスコミはどのように報道したのでしょうか?


まず、朝日新聞のasahi.comでの見出しは、

【食物繊維摂取量、少ない女性は大腸がんの「危険」】

となっていました。

次に、日経新聞のnikkei.co.jpでの見出しは、

【食物繊維、多く取っても大腸がんリスクと関係なし】

となっています。

いずれの記事も簡潔にまとめられており、内容も間違いではありません。

ただし、見出しを比べると、ニュアンスが異なるため、情報を受け取る側である読み手に影響を与えるかもしれません。
(もし、見出しだけしか見ないで、記事の内容を読まないとすると、かなり違った印象になります。)

一般向けに研究の概要をまとめたリサーチ・ニュースが、国立がんセンターのホームページに記載されています。

マスコミの報道記事と、その情報源になった国立がんセンターの記事を比較するのも面白いかもしれません。
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食物繊維と大腸がんの関係 [2006年07月20日(木)]
7月20日付で、国立がんセンターが「食物繊維と大腸がんの関係」というリサーチ・ニュースを発表しています。

日本人の男女約10万人を対象にして、食物繊維の摂取量と大腸がんリスクの関係を調べた結果、食物繊維の摂取量が多いほどリスクが低くなるという関連は認められなかったということです。

ただし、今回の研究データについて、詳細に解析すると、摂取量が最少のグループでは、他のグループに比べて大腸がんの発症リスクが高い傾向にありました。

特に、女性では、この傾向が顕著であり、例えば、食物繊維の摂取量が非常に少ない(具体的には1日あたり6g)グループでは、摂取量が最多のグループに比べてリスクが2倍以上になっています。

この調査結果の概要は、国立がんセンターのホームページに掲載されています。
研究論文は、専門誌に発表されています(Otaniら)。



食物繊維が大腸がんを予防するという考えは、一般に広く知られています。
ただし、これは、医学的には仮説の一つです。

最近報告された多くの疫学的調査では、食物繊維の大腸がん予防効果に「否定的なデータ」が示されています。

一方、予防効果を認めたとする研究もあります。
例えば、2003年の欧州諸国からの大規模な疫学調査では、食物繊維の摂取が多いと大腸がんの発症リスクが低いというデータが報告されています。

したがって、今回の観察研究は、一つの参考データではありますが、大腸がんの予防効果が否定されたわけではありません。



大腸がんの発症メカニズムには個人差があります。
今回の調査では、食物繊維摂取量以外の項目(年齢や性別、生活習慣)をできるだけそろえていますが、遺伝子といった体質やファイトケミカルの摂取量などを詳しく調べているわけではありません。


これまでの研究では、野菜や果物の摂取量が多いと、がんのリスクが少ないといった疫学データも知られています。

つまり、野菜や果物による大腸がんの予防効果では、食物繊維だけではなく、さまざまなファイトケミカル(植物に由来する抗酸化栄養素)の働きも重要であると推察されます。

食物繊維とさまざまなファイトケミカルが相加的・相乗的に働いて、がんを予防すると考えるほうが適切と思います。

その上で、どのようなシナジー効果があるのか、どのようなメカニズムによるのか、遺伝的な個人差を考慮した上で、どの人にどの量をとってもらうといいのか、といったことを決めるための研究が必要になります。



がんと食事の内容との関係を調べた研究では、「食物繊維」の他、「緑茶」「コーヒー」「脂質」など単独の要素を取り出して、統計処理が行われます。

大規模な観察研究も大切ですが、それだけでは、「個人差」が埋もれていまいます。
また、一つ一つの要素のがん予防作用が、あまり大きくない場合、一つの要素だけを取り出して解析する場合、明確な相関関係が示されないことも考えられます。

(例えば、緑茶と胃がんの関係について、ネガティブなデータもポジティブなデータもあります。)


一般に、広く知られている仮説について、それを否定するような内容のデータが発表されると、マスコミで報道されやすい傾向にあります。
医学的には、一つの参考データが加わったというだけで、結論が得られたわけではなくても、「ネガティブニュース」はマスコミで報道されやすいと感じています。

(つまり、食物繊維の摂取が多いと大腸がんが予防できる、という仮説を支持する研究データは、一般のニュースで取り上げられにくい、ということです。)



ところで、食物繊維の一日あたりの摂取「目安量」は、成人男性で24〜27g、成人女性で19〜21gです(2005年の食事摂取基準)。

実際の摂取量についてみてみると、平成16年度国民栄養調査では、食物繊維総量が調査対象の男女平均で13.9g、20歳以上での総量は平均14.3gでした。
(なお、食物繊維総量とは、水溶性食物繊維と不溶性との合計です)

食物繊維については、心臓病の予防効果や食後過血糖の抑制効果などが広く受け入れられています。

今回の大腸がんの疫学調査でも、女性では食物繊維が少ないとリスクが上昇することが示唆されています。

野菜を多く摂るようにこころがけつつ、必要に応じて、サプリメントの食物繊維の利用も推奨できると思います。
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女性とサプリメント [2006年07月19日(水)]
昨日の[性差医療]についてのブログでは、女性と男性の「生物学的な違い」に基づく、サプリメントの働き方の相違を述べました。

サプリメントに関連する「性差」では、「利用率」「利用頻度」の違いも知られています。

サプリメントや代替医療の利用状況調査では、女性のほうが男性よりも利用している人の割合が高いことが報告されています。
日本でも欧米でも、主要なすべての調査で、女性のほうが高い利用率を示しているのです。

これは、昨日のブログで述べた、吸収や代謝における違いといったものではありませんので、性差医療云々といったことではないかもしれません。
一方、男性よりも女性の方が、美容や健康に配慮していることを裏付けるデータと考えられます。

女性の場合は、配偶者(あるいは彼氏)のためのサプリメントについてメーカーにお尋ねになることもあるようです。

一般に、女性のほうが男性よりもサプリメントに詳しいと思います。
ご自分用のサプリメントだけではなくて、パートナーの美容と健康維持のためのサプリメントを選ぶのも楽しいかもしれませんね。
posted at 23:55 | この記事のURL
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性差とサプリメントの代謝 [2006年07月18日(火)]
先日(7月14日のブログ)では、「性差医療」の視点について紹介しました。
今日もこの[性差]について述べたいと思います。


医薬品やサプリメントの吸収や代謝には、男性と女性の間で違いがあります。

一般に、男性は女性に比べて体重が大きく、体内水分量や循環血液量、筋肉量が多いと考えられます。一方、女性は男性に比べて高い体脂肪率を示します。

そのため、水溶性成分の分布容積は男性で大きく、脂溶性成分のそれは女性で大きい傾向にあります。

また、薬物代謝に関係する肝臓のチトクロームという酵素に関して、男性と女性での差があります。
例えば、セントジョーンズワートによるチトクロームの変化率は、女性のほうが男性よりも大きいことが報告されています。

サプリメントの働き方には個人差があるため、個人差を考慮した個別化医療の実現のためにも、さらに研究が必要と考えられます。
posted at 23:42 | この記事のURL
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「香醋(こうず)」製品の景品表示法違反(優良誤認) [2006年07月17日(月)]
先週、あるメーカーの「香醋(こうず)」製品の成分表示が、消費者の誤解を招く表記であるというニュースがありました。
公正取引委員会は、7月13日付で、景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、該当する某メーカーに対して再発防止などを求める排除命令を出しています。

公正取引委員会によると、「香醋を約20倍に濃縮して」「約8ccの香醋を2球のカプセルに詰めました」などと表示することで、あたかも、この製品が、香ずに含まれるアミノ酸の量を保持したまま約20倍に濃縮した香ずをカプセルで詰めたように、また、製品2粒分のカプセルには、本来のアミノ酸量を保持したまま約8ccに相当する香ずが詰められているかのように表示したということです。
しかし、カプセル内の香ずパウダーでは、主要成分のアミノ酸重量は約1.6ccに相当する香ずに含まれる重量程度にすぎないものであるということです。

そこで、この製品の広告表示は、一般消費者に対し、実際の中身よりも著しく優良であると示すものとされ、排除措置の対象となったようです。

昨日および一昨日のブログで紹介した「ウコン」や「ウーロン茶」の製品広告では、製品そのものの中身(成分)に誤解を生じるような表現ではありませんでした。
ウコンやウーロン茶の宣伝では、効能効果についての表現がグレーゾーンということになります。

一方、この「香醋(こうず)」製品の成分表示では、明らかに消費者に誤認させるような意図が感じられます。

現在、市場にはさまざまな製品が出回り、同時に、いろいろな宣伝情報もあふれています。
サプリメントや健康食品は、セルフケア・セルフメディケーションに利用されるものですので、それらを賢く利用するためには、適切な情報の収集と選択が必要になっているようです。
posted at 23:52 | この記事のURL
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『姉妹の食卓』篇 [2006年07月16日(日)]
今年の5月から開始されたTVのCMに、某大手食品メーカーのウーロン茶・『姉妹の食卓』篇があります。

CMでの字幕とナレーションは、次のようになっています。

―――――
妹:(姉さんは、好きなだけ食べて・・・・きれい・・・)

姉:なに見てるの?

妹:姉さんはよく食べる なのに・・・ずるい 

ナレーション:そのお茶は、○○○○○ウーロン茶

―――――
(なお、○○○○○はメーカー名です。)


このCMでは、
「姉さんは、好きなだけ食べて・・・・きれい・・・」
という理由が、
「○○○○○ウーロン茶」
である、と誤認してしまいそうになります。

でも、もちろんこの姉妹についての科学的根拠(?) はないわけで、
姉のハンルーさんがスリムできれいなのは、体質+ライフスタイルで努力しているからでしょう。

昨日のウコンの商品名も、このウーロン茶のCMも、法律に抵触しないぎりぎりの線で広告をするということで、メーカーと広告会社の苦労がしのばれます。
(なお、両者はそれぞれ別の大手食品メーカーの製品です。)

消費者が優良誤認しないかどうか、という視点では、やはりグレーゾーンかもしれません (あくまで私見ですが)。


ところで、このような、ぎりぎりの線で‘よくできた’宣伝を考えるには、お金がかかりそうですね。
posted at 23:46 | この記事のURL
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ウコン健康食品の「商品名」と薬事法 [2006年07月15日(土)]
「天然効果(R) 活性ウコン」
という某食品メーカーの製品があります。

昨日、移動中に、その製品の新聞広告を目にしました。

その広告には、
[※「天然効果(R)」はブランド名であり、成分効果を標榜するものではありません。]
と記載されていました。

なかなかうまく宣伝方法を考えている、というのが私の感想です。

サプリメント・いわゆる健康食品は、日本の制度では、医薬品ではなく食品に分類されます。
食品であることから、医薬品のような「効能効果」はうたえません。

つまり、製品の広告での表現には厳しい法的な規制があり、例えば、ウコンが○○○に対して「効果」がある、という説明はできません。
病気や症状について、具体的に言及して説明することはできないのです。

そこで、それぞれの大手メーカーでは、法律を遵守しつつ、どのようにして商品の情報を消費者に伝えるか、という点で苦労しています。

このような現状の中で、
「天然効果(R) 活性ウコン」
という広告が目にとまった次第です。
(なお、(R)は商標マークです。)

ウコンの宣伝としては、「肝臓」という説明も、何らかの「効能」や「効果」の表示も違法になります。
そこで、この某食品メーカーでは(あるいは広告会社では)、「天然効果」という表現をすべて商品名にしてしまうことで、表示を可能にしたのです。

サプリメントや健康食品の広告に、「効果」という表現は、あり得ないはずですが、「天然効果」というのは「効能効果」についていの言及ではなく、商標名ということになるわけです。

さらに、
[※「天然効果(R)」はブランド名であり、成分効果を標榜するものではありません。]
とも記載することで、監督官庁への対策にもなっているのかもしれません。

販売しているのは大手食品メーカーですので、製品の品質自体は確かでしょうし、ある程度の効果も期待できるとは思います。
しかし、「天然効果(R)」というのは、「グレーゾーン」の表現でしょう。
あるいは、薬事法の解釈次第では、限りなく「黒」に近いとも感じられます(あくまで私見です)。

この製品に関しては、日本での法的整備の遅れを非難するよりは、メーカーおよび広告会社のマーケティング戦略を褒めるべきなのかもしれません。

ちなみに、同じウコン製品で、有効成分の量と値段を比較する場合、DHCの「濃縮ウコン」が「費用対効果」の点で優れた製品と考えられます。
これは、ウコンの有効成分であるクルクミン(クルクミノイド)について、1日あたりあるいは単位量あたりで、「天然効果(R)」とDHCの「濃縮ウコン」を比較しても明らかです。

なお、DHCの「濃縮ウコン」はキャンペーン中です。
posted at 20:44 | この記事のURL
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性差医療の視点 [2006年07月14日(金)]
先日のブログでは、
「中高年女性は、1日あたり500mg以上のカルシウムサプリメントを摂ることで、体重増加を抑制できる」
という研究結果を紹介しました。
一方、この研究によると、男性では、はっきりした効果は示されていません。

つまり、男性と女性では、サプリメントの効果に違いが認められたことになります。


「性差医療(Gender-specific Medicine)」とは、健康や病気における発症率や経過、病態の差異において、性差がどのような影響を与えるか、をテーマとする医療です。

「性差医療」は、90年代以降の米国で注目され始め、医学・医療の分野で性差に関する研究が進んでいます。
例えば、日本でも、女性専門外来が増えつつあります。また、男性の更年期障害といった概念も知られるようになりました。

さまざまな生活習慣病では、発症率や病態の経過に関して、性差が存在します。
例えば、男性に多い疾患として、虚血性心疾患、食道がんが知られています。
一方、女性に多い疾患として、骨粗鬆症や過敏性腸症候群などがあります。

ただし、ライフステージでの変化もあります。
例えば、女性では、閉経前に虚血性心疾患になることはまれですが、閉経後には罹患率が増加します。
高コレステロール血症の場合、30歳代から60歳代では男性の罹患率が顕著ですが、50歳代以降の女性でも高コレステロール血症が認められます。

東洋医学の古典には、性差に関する記述があります。例えば、‘血’の異常は男性よりも女性に多いとされています。女性では血虚や水毒、男性では腎虚や気虚といった病態が多いという報告もあります。

医薬品やサプリメント成分の吸収や代謝にも性差が存在します。
今後、サプリメントの作用を効率よく得るために、性差医療の視点からのサプリメント研究の進展が望まれます。
posted at 23:53 | この記事のURL
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米国のED向けサプリメントに医薬品成分:FDAが警告 [2006年07月13日(木)]
ED(勃起障害)改善や性機能亢進の作用があるとして、米国で販売されているサプリメントに対して、米国FDA(食品医薬品局)が7/12付けで警告を出しています。

FDAでは、インターネット等にて販売されている「Zimaxx」「Libidus」「Neophase」「Nasutra」「Vigor-25」「Actra-Rx」「4EVERON」というサプリメントについて、消費者に購入したり使用したりしないようにと警告を出しました。

例えば、「Zimaxx」という製品にはバイアグラの成分であるシルデナフィルが含まれているのに、その表示がなく、サプリメントとして販売されていたということです。
(なお、シルデナフィルは医薬品ですので、本来、サプリメントに含まれていることはありえません)。

同様の問題は、日本のいわゆる健康食品でも頻発しています。
厚生労働省では、「医薬品成分(シルデナフィル及び類似成分)が検出されたいわゆる健康食品について」という文書を7月10日付にて発表しています。

このように、米国でも日本でも、サプリメントの一部には大きな問題があります。
製品の表示に記載されていない医薬品の成分が意図的に混入されている悪質な製品では、健康被害も報告されています。

サプリメントの製品を選ぶ際には、まず、信頼のできるメーカーを選ぶことが大切です。

posted at 23:45 | この記事のURL
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カルシウムとダイエット [2006年07月12日(水)]
カルシウムのサプリメントを摂っている女性では、摂っていない女性に比べて、40歳代半ばから50歳代半ばの10年間での体重増加が抑えられるという研究が、アメリカ栄養士会ジャーナル(JADA)に発表されました(Gonzalezら)。

研究では、10,591名の男女を対象に、40歳代から50歳代にかけて、カルシウム摂取と体重変化との関係が検討されました。

まず、女性5,341名において、45歳以降の10年間の体重増加を解析した結果、1日あたり500mg以上のカルシウムサプリメントを摂っているグループでは5.1kgの増加でした。一方、カルシウムサプリメントを摂っていないグループでは6.9kgの体重増加でした(有意差あり)。

次に、男性5,250名の解析では、カルシウムサプリメントと体重変化との関係は認められませんでした。

つまり、女性では、食事に加えて、サプリメントからカルシウムを摂ることで、40歳代半ば以降の10年間において、体重増加を抑制することができるということになります。
なお、この研究では、食事に含まれるカルシウムだけでは、10年間の体重増加に対する抑制は認められていません。

この研究の限界として、介入試験ではなく観察研究であるという点があります。
また、もともとは、米国国立がんセンターの研究費によって、がんとサプリメントの関連を研究する目的で行われた試験です。

この研究結果から、「中高年女性は、1日500mg以上のカルシウムサプリメントを摂ることで、体重増加を抑制できる」ことが示唆されます。
また、これまでに報告された他の研究でも、カルシウムの摂取が体重増加を抑制したり、減量効果を示したりすることが知られています。

ただし、適正体重の維持には、カルシウムサプリメントが第一選択になるのではなく、やはり、適切なライフスタイルが大切です。
posted at 21:56 | この記事のURL
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