一部マスコミ報道にありましたように、弊社の製品「アロエベラ」からWHOの基準値を超えるベンゼンが検出されたため、厚生労働省から該当製品の回収要請を受けました。
弊社では、要請を真摯に受け止め、対応いたします。
ただし、該当製品の摂取による健康への影響は、まったく考えられません。
(後述の計算のように、一日に何リットルものアロエベラを長期間摂取する、といったことのない限り、まったく問題ありません。)
理由は、
「(WHOの)ガイドライン値が飲料水を生涯摂取したときのリスクを考慮しており」、
「ガイドライン値を超える清涼飲料水をある一定量摂取していたとしても、特段の健康影響を生ずるということを意味するものではないこと」
(以上、厚生労働省)
だからです。
後述のように、ヒトにおけるベンゼンの摂取では、環境(大気)由来や喫煙に伴うものがはるかに多いことが知られています。
したがって、
「ヒトのベンゼンの摂取源の大半が環境由来(大気)であるということにより、環境由来のリスクに比して食品由来のリスクは低いものと考えられており、食品からの摂取に多少の増大があったとしても、リスクの増大への寄与は少ないものと考えられております(厚生労働省)」
とされています。
なお、米国FDA(食品医薬品局)でも、ソフトドリンク(清涼飲料)類において検出されるベンゼンについて、
安全性に問題はないという通知を既に発表しています。
(米国では、コーラ類にベンゼンが検出されたため、話題になりました。)
今回の経緯は、以下のようです。
@低濃度ベンゼンの生成
本年3月以降、英米などの諸国で、清涼飲料水に保存料として利用されている「安息香酸」と、アスコルビン酸(ビタミンC)が反応することで、低濃度ながらベンゼンが生成されることが見いだされました。
英国などでは、念のため、10ppbを超える製品の回収が要請されています。
(ppb:10億分の1の分率)
A環境からのベンゼンの摂取
ベンゼンとは、工業製品の製造に利用される化学物質の一つで、環境中にも広く存在しています。
自動車の排気や石油の燃焼により環境中(大気中)に排出されるため、ヒトは呼吸によって摂取することになります。
その他、喫煙に伴う摂取も知られています。
ヒトへの摂取量は、食品からよりは、環境(大気中など)からの摂取がはるかに多いと報告されています。
これまで、次のような報告があります。
【大気】
呼吸による摂取:220マイクログラム/日
自動車に関連する摂取:32〜49マイクログラム/日
【喫煙】
喫煙:
7900マイクログラム/日(EU)
1820マイクログラム/日(カナダ)
受動的喫煙(間接喫煙):
63マイクログラム/日(カナダ)
【食品】
飲食物:0.2〜3.1マイクログラム/日(EU)
食品:1.4マイクログラム/日(カナダ)
Bベンゼンの基準値について
今回の検査で、厚生労働省が適応した判断基準は、「WHO飲料水ガイドライン(第3版)」による値です。
基準値(濃度)である10ppb(マイクログラム/L)を超える値であったため、今回、弊社製品が厚生労働省から製品回収の要請を受けました。
なお、WHOのガイドラインは「飲料水」を、一生涯という期間、摂取したときのリスクに配慮して作成された基準です。
(本邦では、清涼飲料水のベンゼンに関する法定基準値は存在していません。水道水の水質基準には10ppbの基準値があります。)
厚労省は、「飲料水」の一部が市販の「清涼飲料水」などに置き換わることを考慮し、同じ基準値を当てはめて分析しています。
英国の監督官庁によると、
「上限値である10ppbのベンゼンを含む水道水を、1日あたり20リットル摂ることによるベンゼンの摂取量」
と、
「1日あたり、大気中から吸入するベンゼンの摂取量」
が等しいということです。
C「アロエベラ」摂取の影響について
今回の「アロエベラ」を飲んできた場合の影響について考えてみたいと思います。
検出されたベンゼン濃度は73.6ppb(マイクログラム/L)(3検体の平均)でした。
「アロエベラ」に付属しているキャップは20〜30mlに相当し、摂取目安量は1〜2杯です。
つまり、1日あたり20mlから最大で60ml程度を召し上がっていることになります。
一方、ベンゼン濃度は73.6ppbですので、アロエベラ1ml中には0.0736マイクログラムのベンゼンが含まれることになります。
したがって、1日あたり(20ml〜最大60ml)換算では、
1.47マイクログラムから最大4.41マイクログラム
になります。
この値は、通常の食品由来にほぼ相当するものです。
前述のように、環境由来のリスクに比して食品由来のリスクは低いものと考えられており、今回の「アロエベラ」製品からの摂取による健康への影響はないと考えられます。
もちろん、該当製品については、厚生労働省からの要請にしたがい、対応いたします。
今回の問題は、弊社製品の製造過程で規制されている化学物質が混入したものではなく、既知の認可されている成分(安息香酸とアスコルビン酸)が、相互反応して低濃度の化学物質が生じたというケースです。
これは、今年の春以降、注目されてきた比較的新しい知見でした。
今後も医学生物学の分野では、さまざまな新しい知見が見出されてくると思います。
弊社では、今回の要請を真摯に受け止め、製品の品質管理に最新の科学的知見を反映させる努力を続けていく所存です。