今月の糖尿病学の専門ジャーナルに,シナモンによる2型糖尿病改善作用を検証した総説が,イギリスのグループから報告されていました。
(
Diabetes Obes Metab. 2009 Dec;11(12):1100-13.)
近年,いくつかの予備的な臨床試験で,シナモンによる糖尿病改善作用/血糖コントロール改善作用が示されています。
そこで,今回の論文では,これまでに報告された研究のデータを解析し,シナモンによる糖尿病改善作用に関するレビューが行われました。
2003年1月から2008年7月までの文献が検索された結果,2型糖尿病を対象にした研究5報と,非糖尿病を対象にした3報が検出され,合計311名のデータが解析の対象になりました。
(なお,シナモンは,
Cinnamomum verum あるいは
Cinnamomum cassiaのいずれかです。)
まず,糖尿病を対象にした研究では,2報において,空腹時血糖値が18-29%あるいは10.3%それぞれ有意に低下(p < 0.05)し,非糖尿病を対象にした1報においても8.4%低下し偽薬に対して有意な血糖降下作用(p < 0.01)が認められています。
また,耐糖能の有意な改善作用も示されています(p < 0.05)。
一方,糖尿病を対象にした残りの3報では,有意な差は見出されていません。
以上のデータから,論文著者らは,シナモンによる血糖降下作用が示唆されるが,糖尿病治療の目的としては結論づけることができず,さらに研究が必要である,と考察しています。
今後,基礎研究や臨床試験を行うことで,シナモンによる血糖降下作用の分子メカニズムが解明され,糖尿病の血糖コントロールを目的とした適切な用法用量が見出されれば,シナモンサプリメントが補完療法の一つとして考慮されると思います。
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