今月の栄養学の専門ジャーナルに,アルツハイマー病とセレンの関係を調べた研究が,ブラジルのグループから報告されていました。
(
Br J Nutr. 2010 Mar;103(6):803-6.)
これまでの研究によって,さまざまな抗酸化物質が,加齢に伴う変性疾患の低下に相関することから,疾病の病因として酸化ストレスの関与が考えられています。
今回の研究では,アルツハイマー病患者におけるセレンの状態が調べられています。
セレンは微量必須ミネラルの1つであり,抗酸化作用を有することから,サプリメント成分としても利用されています。
具体的には,アルツハイマー病患者28名と,正常対照者(健常者)29名を対象に,3日間の食事記録にてセレンの摂取状況が調べられました。
(症例対照研究。両群とも被験者は60歳から89歳。)
血中,赤血球中,爪のセレン値が解析された結果,アルツハイマー病患者ではセレン摂取不足が顕著であることが見出されました。
また,アルツハイマー病患者では,血中セレン濃度,赤血球中セレン濃度,爪のセレン値がいずれも正常対照群と比べて有意に低値でした。
(アルツハイマー病:32.59μg/l, 43.74μg /l and 0.302μg /g
vs.
正常対照群:50.99μg /l, 79.16μg /l and 0.400μg /g)
以上のデータから,アルツハイマー病患者では,セレンの摂取不足が病態の一因として関与していることが示唆されます。
セレンは,「
マルチミネラル」に含まれている機能性食品素材です。
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