栄養学の専門ジャーナルに,共役リノール酸による抗炎症作用を示した基礎研究が,ポルトガルのグループから報告されていました。
(
Br J Nutr. 2010 Mar;103(6):869-78.)
共役リノール酸(CLA,異性化リノール酸)は,体重減少効果を有する機能性食品成分としてサプリメントに利用されています。
近年,複数の臨床試験によって,共役リノール酸摂取による体重減少・ダイエット効果が示されてきました。
また,肥満・メタボリックシンドロームでは,全身における慢性炎症の関与が知られています。
そこで,今回の研究では,共役リノール酸(CLA)による抗炎症作用が検証されました。
具体的には,肥満モデルラットを用いて,飽和脂肪酸食にCLAを添加し,血中アディポカイン,後腹膜脂肪組織,脂質関連指標などが測定されています。
飽和脂肪酸食(動脈硬化惹起食,2%コレステロール)に,1%CLA(cis-9, trans-11とtrans-10, cis-12-CLAを1:1)の添加の有無によって比較が行われた結果,CLA投与群では,摂食量の低下,体重の低下,肝重量と肝脂質蓄積の低下が認められたということです。
また,CLA投与群では,アディポネクチンの増加と,PAI-1の低下も示されています。
このとき,trans-10, cis-12-CLA異性体のCLAは,アディポネクチンとPAI-1の値と有意な相関が認められています。
さらに,動物由来の脂質と植物油との比較では,前者において,インスリン抵抗性の増加,レプチン値の増加,血中TNF-α,IL-18の増加が見出されました。
以上のデータから,CLAを植物油に添加することで,血中アディポカインおよび炎症マーカーの改善が示唆されます。
今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。
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