今月の腫瘍栄養学の専門ジャーナルに,頭頚部腫瘍がん患者の生存率と,血中カロテノイド濃度の関係を調べた臨床研究が,ノルウェイのグループから報告されていました。
(
Nutr Cancer. 2010 Apr;62(3):322-8.)
今回の研究では,頭頚部がん患者における血中カロテノイドとトコフェロールの濃度が,放射線療法後のアウトカムに相関するかどうか,検討されています。
具体的には,果物や野菜の摂取を指標として,頭頚部扁平上皮がん(HNSCC)患者29名と,正常対照者51名を対象に,血中カロテノイドとトコフェロール値が測定されました。
(患者群では放射線療法終了後に採血。)
測定の結果,血中ルテイン,ゼアキサンチン,α-カロテン,β-カロテン,リコピン(リコペン),総カロテノイドは,正常対照群に比べて,頭頚部がん患者群において有意に低値でした。
55ヶ月間のフォローアップ期間中,患者群では,18名が死亡し,11名が生存していました。
放射線療法後の血中カロテノイド類の濃度(ルテイン,α-カロテン,β-カロテン)と,患者の生存(progression-free survival)との間に有意な相関が認められています。
以上のデータから,放射線療法後の予後と,血中カロテノイド濃度との間の関連が示唆されます。
今後,サプリメントの摂取でも同様の効果が得られるか,検討が期待されます。
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