今月の健康科学の専門ジャーナルに,補完代替医療(CAM)の分類を考察した研究が,米国のグループ(Arizona State University)から報告されていました。
(
Health (London). 2010 May;14(3):234-52.)
補完代替医療(相補代替医療CAM)に関する分類は,いくつか知られていますが,国際比較研究の視点から,米国NIHのNCCAMによる分類がよく用いられます。
NIH分類では,CAMを
代替医療システム(漢方やTCM,アーユルヴェーダなど),
心身相関医療
生物学的介入法
徒手療法
エネルギー療法
の5つに分類しています。
ただし,CAMは,各国の文化や医療制度によって,大きく異なるため,NIH分類が必ずしも適切というわけではありません。
(WHOでは,CAM/TM(伝統医療)という表現をします。)
そこで,今回の研究では,NIHのCAM分類が,実際のCAM利用状況に合致しているかどうか,2002年に実施された米国での全国調査を対象に検証が行われました。
具体的には,30,923名の成人を対象に,過去12ヶ月に利用したCAMを20種類に分けて解析が行われた結果,
まず,祈り(prayer)は,心身相関医療とは独立した分類が必要とされました。
また,ハーブとビタミン類は代替医療システムにフィットする一方,
鍼は,カイロプラクティックとマッサージと同じ区分にもっともフィットする,
ということです。
比較的初期の研究をもとに作成されたNIH分類について,そろそろ見直す時期が来ているようです。
ただし,国際比較は容易ではなく,例えば,米国の調査では,祈りはCAMの利用頻度で1位ですが,日本の調査では,調査項目にも入っていないことが一般的です。
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