今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,サプリメント利用とライフスタイルとの関係を調べた研究が,ドイツのグループ(German Cancer Research Centre)から報告されていました。
(
Br J Nutr. 2010 May 5:1-7)
これまでの研究では,健常者あるいは有病者におけるサプリメントの利用状況が示されてきました。
しかし,時系列での評価はあまり知られていません。
そこで,今回の研究では,サプリメント利用の継続性と,ライフスタイルとの関連について,前向き調査が行われています。
具体的には,男性8,968名,女性10,672名を対象に,サプリメント利用状況を調べて,継続して利用しているグループ,不定期に利用しているグループ,非利用者のグループの3群に分けられました。
(ヨーロッパでのがんと栄養に関する前向き調査研究(EPIC)として実施。)
まず,最初の調査時では,男性の28.5 %,女性の38.6 %がビタミンかミネラル,あるいは両方のサプリメントを利用しているという結果です。
そして,平均8.5年間の観察期間を経た後の調査では,男性の14.6 %,女性の22.9 %が継続してサプリメントを利用していました。
フォローアップ中,開始時にはサプリメントを利用していた群のうち,男性の36.0 % ,女性の26.6 %が利用をやめた一方で,当初の非利用者群のうち,男性27.8 %,女性 39.4 %が利用を始めていたということです。
男性よりも女性のほうが,サプリメントを継続して利用しており,
性別にかかわらず,継続した利用者の特長として,
50歳以上,
非肥満(BMI<25),
脂質異常症(自己申告)
という点が上げられています。
その他に相関が認められた項目は,
男性では高学歴,
女性では身体的に活動的である
などが示されています。
また,食生活では,
乳製品,魚類,果物,野菜,ワインの摂取が多く,
肉類の摂取が少ない,
ことが見出されました。
以上のデータから,サプリメントの利用には明確な継続性は認められない一方,
一般に,サプリメントの利用者は,健康保持に好ましいと考えられる食生活を送っていることが示唆されます。
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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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