栄養学の専門ジャーナルに,サプリメントの利用と死亡率との関連を調べた研究が,米国のグループから報告されていました。
(
Am J Clin Nutr. 2010 Apr 21.)
今回の研究では,13種類のビタミンミネラル,グルコサミン,コンドロイチン,ノコギリヤシ,イチョウ葉,ニンニク,魚油,食物繊維のサプリメントの10年間以上の摂取と,全死亡率との関連が調べられました。
具体的には,2000年から02年にかけて,ワシントン州在住の(50〜76歳) 77,719名を対象に,平均5年間,全死亡率が調査され,387,801患者-年に対して,合計3577の死亡例が確認されました。
いずれのビタミンやミネラルも,10年間のサプリメント摂取と,全死亡率との関連は示されていません。
非ビタミン・ミネラル以外では,グルコサミンとコンドロイチンが,全死亡率の低下との相関を示しています。
非利用者に比べて,利用者(4日/週以上を3年間以上)では,
グルコサミンの摂取で17%死亡率低下,
(ハザード比0.83;95% CI: 0.72, 0.97; P(trend) = 0.009),
コンドロイチンの摂取で17%低下
(ハザード比0.83;95% CI: 0.69, 1.00; P(trend) = 0.011)。
というデータが示されました。
また,魚油サプリメントの摂取では,17%の死亡率の低下傾向が見出されています。
(HR: 0.83; 95% CI: 0.70, 1.00)
以上のデータから,サプリメントの摂取による全死亡率の低下について,ビタミンやミネラルの摂取では有意差は見出されませんでしたが,グルコサミンおよびコンドロイチンの摂取と全死亡率との低下との関連が示されています。
なお,このデータは,統計的な相関関係を示しただけであり,因果関係は不明です。
一般に,グルコサミンやコンドロイチンが,がんや動脈硬化性疾患を予防するというコンセンサスはありません。
(
グルコサミンや
コンドロイチンは,変形性関節症に伴う症状の改善に効果が示されています。)
この相関関係に因果関係があるとすれば,例えば,グルコサミンやコンドロイチンを利用する人は健康意識が高く,サプリメントを摂取する以外にも,健康保持や疾病予防に留意したライフスタイルを選択し,その結果として,全死亡率が低くなったということが推測されます。
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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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