今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に、前立腺肥大の予防に対してノコギリヤシ+リコピン+セレンの併用が有用であることを示した基礎研究が報告されていました。
(
J Urol. 2011 Aug 18.)
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)
また、前立腺に対する働きとして、リコピンやセレンも知られています。
リコピンはカロテノイド系ファイトケミカルの1種であり、前立腺がん予防が示されています。
セレンは抗がん作用を有するミネラルの1種です。
前立腺の健康維持を目的としたサプリメントでは、
ノコギリヤシ単独投与の他、複数の成分を組み合わせて用いることもあります。
さて、今回の研究では、良性疾患である前立腺肥大症に対して、ノコギリヤシ単独投与と、ノコギリヤシ+リコピン+セレンの組み合わせ投与について、その働きが調べられています。
具体的には、ラットを用いて、14日間のテストステロン(3mg/kg sc)投与群あるいは対照群の2群が作成され、
次に、テストステロン投与群を、
--対照群
--ノコギリヤシ単独投与群(25 mg/kg sc)
--リコピン(3 mg/kg sc)+セレン(3 mg/kg sc)+ノコギリヤシの併用投与群
として14日間の介入が行われました。
解析の結果、ノコギリヤシ単独投与群に比べて、
ノコギリヤシ+リコピン+セレンの併用投与群では、
前立腺の重量および過形成の状態が、より効果的に抑制されたということです。
このとき、細胞増殖に関与する因子の遺伝子発現などにも変化が見出されています。
以上のデータから、ノコギリヤシ単独投与に比べて、リコピンとセレンの併用は、前立腺の肥大をより効果的に抑制すると考えられます。
なお、この基礎研究では、介入方法・投与方法が経口投与ではなくて、皮下投与になっていることが問題です。
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