今月の英国医学誌に、カルシウムの摂取と副甲状腺機能亢進症リスク低下との相関を示した臨床研究が、米国のグループ(Harvard Medical School)から報告されていました。
(
BMJ. 2012 Oct 17;345:e6390)
副甲状腺は、副甲状腺ホルモンの分泌により、
体内の骨や腎臓に作用し、カルシウムのバランスを調整しています。
副甲状腺機能亢進症とは、何らかの原因で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病態です。
今回の研究では、女性において、
食事あるいはサプリメント由来のカルシウムの摂取量と、原発性副甲状腺機能亢進症との関連が調べられました。
具体的には、
1986年の時点で39歳から66歳までの女性看護師58,354名を対象に、
4年ごとの食事調査によるカルシウム摂取量の評価が行われ、
原発性副甲状腺機能亢進症の発症リスクが検証されています。
(ナースヘルススタディT(Nurses' Health Study I)という前向きコホート研究の一環です。)
22年間の追跡調査の結果、
277例の発症例が見出されました。
食事あるいはサプリメントからのカルシウム摂取量について5分位での解析によると、
カルシウムの摂取量が最高群では、
最低群に比べて、
副甲状腺機能亢進症リスクが44%低下したということです。
(0.56 CI;0.37 to 0.86, P=0.009 for trend)
(年齢、BMI、人種などの交絡因子で補正。)
また、
1日あたり500mg以上のカルシウムサプリメントを摂取している女性では、
カルシウムサプリメント非摂取群に比べて、
59%のリスク低下が見出されました。
(0.41, CI:0.29 to 0.60, P<0.001 for trend)
なお、運動習慣の有無による、カルシウムの摂取と原発性副甲状腺機能亢進症リスクとの関連への影響は認められていません。
以上のデータから、
女性において、
食事あるいはサプリメント由来のカルシウムの摂取によって、
副甲状腺機能亢進症リスクの低下作用が示唆されます。
今後、さらに検証が期待される分野です。
カルシウムは、骨の健康維持に必要な必須栄養素(ミネラル)の1種です。
サプリメントとしても広く利用されており、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウムなどの成分があります。
(サプリメントの場合、カルシウム単独よりも、カルシウム+マグネシウム、ビタミンD、CBPといった組み合わせで用いられます。)
日本人の食事摂取基準では、カルシウムの摂取推奨量は、
成人男性では、650mg〜800mg(年齢によって異なります)、
成人女性では、650mg(70歳以上は600mg)
とされています。
実際には、日本人の平均では500mg台の摂取量しかなく、これまでの国民健康栄養調査では一度も推奨量を充足したことはありません。
一方、欧米で発表された最近のメタ解析では、
欧米での研究において、1日あたり1,000mg以上のカルシウムの摂取は、心血管疾患のリスクに関連する、というデータも示唆されています。
これに対して、
閉経前後および閉経後の日本人女性では、1日あたり500mgのカルシウムサプリメントの摂取によって、骨代謝が改善する、という臨床研究が報告されています。
したがって、日本人の女性では、
食事からの摂取を基本としつつ、
(国民健康栄養調査ではカルシウムが不足しているのは明白なので、)
カルシウムサプリメントも補完的に上手に用いる、
ということが推奨できます。
DHCでは、
骨の健康維持に関連したサプリメントとして、
カルシウム・マグネシウム、
ビタミンD、
CBP、
ビタミンK
などを扱っています。
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