サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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魚油による脂質代謝改善がより効果的なサブグループ [2008年09月09日(火)]
今月の栄養学の専門誌に、フィッシュオイル(魚油)投与による脂質代謝改善作用を示したヒト臨床研究が、イギリスのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 618-629.)


EPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸の豊富な魚油は、心血管疾患を予防することが知られています。


今回の研究では、EPAとDHAの中等度の摂取(1日あたりEPAとDHAの合計で2グラム未満)が脂質代謝や酸化ストレスに及ぼす影響に関して、年齢や性別、アポリポプロテインE(ApoE)遺伝子のタイプの違いによる作用が検討されています。


20歳から70歳の312名を対象に、偽薬対照二重盲検クロスオーバー法にて、対照薬、0.7グラムの魚油(EPA+DHA)あるいは1.8グラムの魚油がそれぞれ8週間投与されました。
(washoutは12週間。)

魚油投与の結果、血中の中性脂肪値は、0.7グラム投与群にて8%、1.8グラム投与群にて11%、前値に比べて有意な低下が認められています(P < 0.001)。

このとき、性別と治療効果の関係(P = 0.038)、および性別と遺伝子型と治療効果との関係(P = 0.032)において、それぞれ有意な相互作用が示されました。

具体的には、APOE4の男性において、中性脂肪低下効果が最大であったということです。
(0.7グラム投与群にて15%、1.8グラム投与群にて23%)


さらに、VLDLコレステロール(P = 0.026)の低下やHDLコレステロールの増加といった作用が魚油投与の結果として認められています。


以上のデータから、魚油(EPA+DHA)は、1日あたり0.7グラムの投与によって脂質代謝改善作用を得ることができ、その効果は、特定の遺伝子型を有する男性において大きいことが期待されます。



今後、このような研究のデータが集積されると、性別や遺伝子の違いに基づくオーダーメイドのサプリメント・栄養療法を効率的に実施できるようになると考えられます。


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