今月の栄養学の専門ジャーナルに、魚類の摂取によって加齢黄斑変性症のリスクが半減するという調査研究が、ヨーロッパのグループから発表されていました。
(
Am J Clin Nutr 2008 88: 398-406.)
加齢黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration:AMD)とは、網膜の黄斑部が老化によって異常を生じ、視力障害を来す疾患です。
DHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸は、抗酸化作用・抗炎症作用を有し、加齢黄斑変性症を予防する働きが考えられます。
今回の研究では、オメガ3系脂肪酸を豊富に含む魚類の摂取と、加齢黄斑変性症(AMD)のリスクとの関係が検討されています。
65歳以上を対象に、眼底検査と食事摂取調査が行われ、105例のAMDと、2170例の対照が比較された結果、脂質の豊富な魚類を1週間に1回以上摂取する群では、1週間に1回未満の群に比べて、AMDの発症リスクが半分に低下することが示されました。
(OR = 0.47; 95% CI: 0.33, 0.68; P = 0.002)
脂質の多い魚類の摂取が増えるに従って、AMDリスクの有意な低下が認められています。
魚類に由来するDHAあるいはEPAの摂取量が最も少ない群(4分位数で最少群)に比べて、最も多い群では、AMDの発症リスクが顕著に低下していました。
(DHAでは68%低下、EPAでは71%低下。)
以上のデータから、オメガ3系脂肪酸の豊富な魚類の摂取による、加齢黄斑変性症の予防効果が期待できます。
オメガ3系脂肪酸は、青魚に多く含まれる他、
フィッシュオイルといったサプリメントを利用することもできます。
加齢黄斑変性症を予防するサプリメント成分として、カロテノイド類の1種、
ルテインも知られています。