今月の生薬学の専門誌に、花粉抽出物による抗アレルギー作用を示した基礎研究が、ブラジルのグループから発表されていました。
(J Ethnopharmacol. 2008 Sep 2;119(1):41-6.)
民間療法にて、花粉がアレルギー疾患に用いられることがあります。
花粉には、植物に由来するフラボノイド類が含まれており、これらが抗アレルギー作用を示すことが考えられています。
今回の研究では、アレルギーモデルマウスを対象に、花粉抽出物およびミリセチン(フラボノイドの1種)による抗アレルギー作用が検討されました。
花粉抽出物200mg/kgの投与によって、浮腫の抑制、IgEおよびIgGの産生抑制などが認められたということです。
このとき、アナフィラキシー反応からの防御作用も示唆されています。
ミリセチン5mg/kgの投与によっても、IgEおよびIgGの産生抑制などの作用が認められました。
以上のデータから、花粉抽出物およびフラボノイドのミリセチンによる抗アレルギー作用が示唆されます。
今後、臨床研究による検証が期待される分野です。
(なお、花粉の種類はその地域の植生に依存します。場合によっては、花粉の摂取によってアレルギー疾患が悪化するケースもありますので、十分な経過観察が必要です。)
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