今月の栄養学の専門誌に、ピスタチオナッツによる脂質代謝改善作用を示したヒト臨床研究が、米国のグループから発表されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 651-659.)
一般に、ナッツ類の摂取と、心血管疾患リスクの低下との相関関係が疫学調査で知られています。
今回の研究では、特にピスタチオナッツによる脂質代謝への影響について、低脂肪食に2種類の用量のピスタチオナッツを加える方法で、検討が行われました。
LDLコレステロールが2.86 mmol/L以上の28名を対象に、エネルギー量の等しい3種類の試験食を4週間摂取させています。
試験食は、
(1)低脂肪の対照食(ピスタチオナッツは含まない食事、25%脂肪、8%飽和脂肪酸、9%単価不飽和脂肪酸、5%多価不飽和脂肪酸)、
(2)1日あたり1サービング(皿)のピスタチオナッツ食(エネルギーの10%がピスタチオ由来、30%脂肪、8%飽和脂肪酸、12%単価不飽和脂肪酸、6%多価不飽和脂肪酸)、
(3)1日あたり2サービングのピスタチオナッツ食(エネルギーの20%がピスタチオ由来、34%脂肪、8%飽和脂肪酸、15%単価不飽和脂肪酸、8%多価不飽和脂肪酸)
の3種類です。
試験の結果、(3)のピスタチオナッツ食では、対照食に比べて、総コレステロール値、LDL、非HDL、apo B、apoB/apoA-1の有意な低下が認められました。
また、(2)と(3)のピスタチオナッツ食との比較により、ピスタチオの用量依存的に、総コレステロール/HDL比の低下作用、LDL/HDL低下作用、非HDL/HDLの低下作用が認められたということです。
以上のデータから、ピスタチオナッツは、用量依存的に脂質代謝改善作用を有することが示唆され、心血管疾患リスクの低下作用が期待されます。
ただし、エネルギー比で10%〜20%に相当するピスタチオナッツを毎日摂取することは、あまり現実的とは考えられませんが…。
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