環境学の専門ジャーナルに,短期間のベジタリアン食による,抗生物質とフタル酸曝露の軽減効果を示した臨床研究が,韓国のグループから報告されていました。
(
Environ Res. 2010 Mar 11)
近年,食事摂取に起因する環境汚染物質が問題になっています。
(もっとも,すべての人にとって,100%安全な食品というものは存在しませんので,科学的根拠に基づくリスクベネフィットのバランスを考慮して,合理的な判断が必要な分野です。)
今回の研究では,抗生物質とフタル酸への曝露について,短期間のベジタリアン食による介入の影響が検証されています。
具体的には,成人25名を対象に,5日間の‘寺院滞在(Temple Stay)’プログラム(@韓国)を実施し,プログラム前後で採尿による関連指標が比較されました。
(参加までの食事摂取状況調査も行われています。)
寺院滞在プログラム中,参加者は,寺院の僧侶と同じ生活を行い,ベジタリアン食を摂取しています。
尿中の抗生物質3種類,およびそれらの代謝物,主なフタル酸エステル,さらに,酸化ストレスの指標であるMDAが解析された結果,このライフスタイル介入によって,抗生物質とフタル酸の検出頻度と検出値のいずれも顕著に低下したということです。
また,尿中MDAは,プログラム介入の前後で有意に低下しました。
(0.16 vs. 0.27mg/g creatinine)
以上のデータから,比較的短期間の食事/ライフスタイル介入であっても環境汚染物質曝露の軽減効果は期待できるようです。
(もちろん,動物性食品がすべて好ましくないというわけではないですし,植物性食品でも汚染されるケースはありますが。)
費用対効果を考えつつ,オーガニック食品を適宜取り入れることは好ましいでしょうし,
野菜や果物のジュースでの週末プチ断食などでもいいかもしれません。
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