今月の生薬学の専門ジャーナル(電子版)に,フーディア由来成分の体内動態を調べた基礎研究が,米国のグループ(University of Mississippi)から報告されていました。
(
Planta Med. 2010 Apr 22.)
フーディア(学名
Hoodia gordonii)は,南アフリカに自生する多肉植物です。
食欲抑制作用があるとされ,米国ではダイエット用のサプリメント成分に用いられています。
(ただし,米国での製品について,その妥当性にはいろいろと議論があります。)
さて,今回の研究では,フーディアの食欲抑制作用に関連した主成分であると考えられているP57AS3 (P57)(オキシプレグナングリコシド)の体内動態が検証されています。
具体的には,雌マウスを用いて,フーディア(P57として25 mg/kgの用量)を単回で経口投与,あるいは静注投与を行い,血中および組織中(脳,肝臓,腎臓,小腸)分布が測定されました。
まず,単回経口投与の結果,血中のP57は0.6時間でピークに達しています。
静注投与によるP57の血中クリアランス率は,1.09 L/h/kgでした。
P57は,比較的速やかに組織中へ移行し,4時間以内に消失したということです。
組織では,腎臓が最も高濃度であり,肝臓と脳が続きました。
一方,経口投与では,P57は脳では見出されず,小腸,腎臓,肝臓での検出は低濃度でした。
(組織/血漿比は,静注では脳:0.33,肝臓:0.57,腎臓:0.75,経口投与では小腸:0.11,肝臓:0.02,腎臓:0.04)
半減期は,経口投与および静注投与のいずれも同程度であり,経口でのバイオアベイラビリティは47.5%という結果になっています。
以上のデータから,フーディアの主成分であるP57は,一定のバイオアベイラビリティがあると考えられますが,比較的速やかに代謝されてしまうと思われます。
今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。
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