今月の生薬学の専門ジャーナル(電子版)に,パーキンソン病モデルにおけるプエラリンの神経保護作用を示した基礎研究が報告されていました。
(
Planta Med. 2010 May 27)
パーキンソン病は,神経変性疾患の一つであり,治療法として神経保護作用によるアプローチが想定されています。
今回の研究では,葛(学名
Pueraria lobata)に由来するプエラリン(puerarin)による,6-ヒドロキシドーパミン誘導性神経障害への作用が検証されました。
具体的には, ラットを用いて,0.12 mg/kg体重/日の用量にてプエラリンが10日間,腹腔内投与された結果,6-ヒドロキシドーパミンによる神経変性の抑制,黒質でのアポトーシスの減少が認められています。
細胞死の指標であるBAX と BCL-2 の発現解析では,6-ヒドロキシドーパミン投与による発現増加(細胞死の増加)が示された一方,プエラリンの併用投与によって抑制されています。
その他,対照群に比べて,プエラリン投与群では,線条体におけるグリア細胞由来神経栄養因子の発現増加も認められました。
以上のデータから,プエラリンによる神経変性疾患抑制,抗パーキンソン病作用が示唆されます。
今後,臨床的意義の検証が期待されます。
(なお,プエラリンを含む生薬では,葛の他,プエラリア・ミリフィカがあります。)
------------------------------------------------------------------
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
------------------------------------------------------------------