腫瘍学の専門ジャーナルに,レスベラトロールによる大腸がん増殖抑制作用を示した基礎研究が報告されていました。
(
BMC Cancer. 2010 May 26;10(1):238)
レスベラトロール(リスベラトロールresveratrol)は,ブドウや赤ワインなどに含まれるファイトケミカルの1種です。
抗酸化作用や抗炎症作用,抗腫瘍作用,免疫調節作用など多彩な作用が示唆されており,アンチエイジング分野でも注目されている機能性素材です。
近年のライフスタイルの変化によって,肥満に伴う大腸がんが増加していることから,食生活による一次予防などが求められています。
そこで,今回の研究では,肥満状態において,レスベラトロールによる大腸がん細胞に対する作用が検証されました。
具体的には,ヒト大腸がん培養系(HT-29およびSW480)を用いて,IGF-1(insulin like growth factor-1,肥満により増加)の有無におけるレスベラトロールの作用が調べられています。
解析の結果,100-150μMのレスベラトロールは,IGF-1存在下(=肥満モデル)において大腸がん細胞の増殖を抑制することが見出されました。
レスベラトロール投与によって,IGF-1Rタンパク質量が抑制され,細胞増殖に関与する細胞内シグナルのAkt/Wnt系が抑制されたということです。
また,がん抑制遺伝子p53の活性化を介したアポトーシス誘導作用も示されています。
以上のデータから,レスベラトロールによる大腸がん細胞増殖抑制作用が示唆されます。
肥満によって増加する大腸がんリスクを想定した実験系であることが興味深いと思います。
今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。
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