肥満研究の専門ジャーナルに、アガリクスによる抗肥満作用を示した基礎研究が、フランスのグループ(University Paris-Diderot)から報告されていました。
(
Obesity (Silver Spring). 2013 Mar;21(3):553-561.)
アガリクス(学名
Agaricus blazei Murill)は、ブラジル原産の食用・薬用キノコで、抗腫瘍作用や免疫調節作用が知られており、多くの基礎研究で抗がん作用が報告されています。
また、臨床研究では、がん患者におけるQOL改善作用が示されており、
統合医療的アプローチ(統合腫瘍学)では、標準治療の補完療法として用いられます。
さて、今回の研究では、食事誘導性肥満モデル動物において、アガリクスによる抗肥満作用が検証されました。
具体的には、
Wistarラットを用いて、
高脂肪食あるいは対照食の2群について、
それぞれアガリクス投与群と非投与群として20週間の介入試験が行われています。
解析の結果、
対照食投与群に比べて、
高脂肪食投与群では、体重および体脂肪量の有意な増加が見出され、
高レプチン血症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、耐糖能異常も認められました。
また、高脂肪食投与群では、
内臓脂肪組織において炎症関連マーカーの亢進も見出されています。
次に、
高脂肪食にアガリクス抽出物を併用投与した群では、
体重増加の抑制などの効果が示されました。
この効果は、
摂食量の低下によるものではなく、
また、
腸管細菌叢の変化によるものでもないということです。
(対照群、高脂肪食群、アガリクス併用群の比較でこれらの点に差は見出されていません。)
アガリクスの併用投与群において、
消費エネルギー量の増加と歩行活動量の増加が見出されたことから、
抗肥満作用の一部はこれらの働きを介すると推定されています。
その他、
アガリクス併用投与群では、
腸管での膵臓リパーゼ活性の低下が見出されたことから、
脂質吸収量の低下も示唆されました。
以上のデータから、
高脂肪食誘導性肥満に対して、
アガリクスの投与は、
摂食量を変化することはなく、
消費エネルギーを増大し、運動量を増加し、
膵臓リパーゼ活性を抑制することで、
抗肥満作用を示すと考えられます。
一般に、アガリクスは、肥満対策の機能性食品素材と認識されていませんので、
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
アガリクスは、基礎研究では抗がん作用について比較的多くのデータが知られています。
一方、ヒト臨床研究による報告はまだ少ないので、今後、エビデンスの集積が期待されます。
(アガリクスに限らず、キノコ類には抗がん作用が想定されますが、投与者全員に効果があるわけではありません。症例研究では、改善例が期待されると思います。
なお、腫瘍縮小という指標での改善例は限られると思ますが、QOLの改善ということであれば、比較的多くの被験者で期待できると想定されます。)
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