今月の疫学研究の専門ジャーナル(電子版)に、高齢者における血中ビタミンD値と肺炎リスクとの関連を調べた研究が、フィンランドのグループ(University of Eastern Finland)から報告されていました。
(
J Epidemiol Community Health. 2013 Apr 17)
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
ビタミンDは、免疫調節作用を有し、感染症リスクを低下させると考えられています。
日本の小児を対象にしたランダム化比較試験において、1日あたり1200IU(6マイクログラム)のビタミンDを投与することで、冬季のインフルエンザ罹患率が有意に低下しました。
ビタミンDによるインフルエンザ予防のメカニズムとして、抗ウイルス・抗菌作用を示すディフェンシン(defensin)の産生増加が考えられています。
ディフェンシンは、ヒトの単球や上皮細胞で産生されるペプチドの1種で、抗微生物活性を有しています。
ディフェンシンは、インフルエンザウイルスが細胞膜に付着するのを阻害し、ウイルス感染の成立を抑制します。
その他、ビタミンDは、サイトカイン類の産生を調節し、抗炎症作用を示すという報告もあります。
(抗炎症作用については、カテリシジン(cathelicidin)も知られています。)
高齢者では、肺炎が主要な死因の一つであり、予防/リスク低下が重要視されます。
さて、今回の研究では、高齢者における
血中ビタミンD値(25-OH-D3)と、肺炎罹患率との関連が調べられました。
具体的には、
フィンランド東部の高齢者用施設の入居者(男性723名、女性698名、53歳〜73歳)を対象に、
血中ビタミンD値(25(OH)D3)が測定されています。
(被験者は1998年から2001年の間に登録され、肺炎や呼吸器疾患は有していません。)
(Kuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor studyという研究の一環です。)
解析の結果、
まず、
被験者のビタミンDの平均血中濃度は、43.5 ±17.8でした。
9.8年間の追跡期間中、
73名が、肺炎による入院エピソードを最低1回経験しました。
交絡因子で補正後、
ビタミンD値が
三分位で最低群では、最高群に比べて、
肺炎罹患率が2.6倍に達していたということです。
以上のデータから、
高齢者ではビタミンD値と肺炎罹患率との間に負の相関が示唆されます。
ビタミンDは、骨の健康維持や骨粗鬆症予防の必須栄養素として知られています。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000 IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
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