今月の神経科学の専門ジャーナル(電子版)に、コエンザイムQ10による多発性硬化症に伴う疲労症状への効果を示した臨床研究が報告されていました。
(
Nutr Neurosci. 2015 Jan 20.)
多発性硬化症(MS; multiple sclerosis)は、免疫系の関与する神経変性疾患の1種であり、
脳における神経変性に炎症が関与することが示唆されています。
今回の研究では、
多発性硬化症で認められる疲労やうつの症状に対して、
コエンザイムQ10の作用が検証されました。
具体的には、
ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、
1日あたり500mgのコエンザイムQ10投与群
あるいは
偽薬群の2群について、
12週間の介入が行われ、
アウトカムとして、
疲労重症度スケールFSS、
Beckうつ病指標BDI
が調べられています。
解析の結果、
疲労重症度スケールは、
コエンザイムQ10投与群では、
有意な減少(改善)が認められ、
(P = 0.001)
一方、
偽薬投与群では、
有意な増加(悪化)が認められたということです。
(P = 0.001)
偽薬群に比べて、
コエンザイムQ10投与群では、
FSSおよびBDIのいずれの指標も有意な改善が示されています。
FSS (baseline 41.5 ± 15.6 vs. endpoint 45 ± 13.6; F1,45 = 55.23, P < 0.001, η2 = 0.56)
BDI (baseline 17.8 ± 12.2 vs. endpoint 20.4 ± 11.4; F1,45 = 40.3, P < 0.001, η2 = 0.48)
以上のデータから、
多発性硬化症(MS)における疲労症状に対して、
1日あたり500mgのコエンザイムQ10投与による改善効果が示唆されます。
今後、MSに対するCoQ10の補完療法としての意義の検証が期待されます。
多発性硬化症(MS)に関連した機能性食品の研究報告として、下記のデータが知られています。
多発性硬化症の症状とビタミンDとの関連
コエンザイムQ10による抗炎症作用@多発性硬化症患者
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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