サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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クリルオイルによる2型糖尿病での血管内皮機能改善作用 [2015年11月01日(日)]
ANA機内のカップが、スターウォーズ・バージョンになっていました。





さて、本日の私的なお勉強日記です。

糖尿病研究の専門ジャーナルに、2型糖尿病患者において、クリルオイル投与による血管内皮機能改善作用を示した臨床研究が、米国のグループ(Danbury Hospital)から報告されていました。
(BMJ Open Diabetes Res Care. 2015 Oct 14;3(1):e000107.)


クリル(krill)は、オキアミのことです。

オキアミ由来の脂質であるクリルオイルには、機能性成分として、オメガ3系必須脂肪酸(EPA+DHA)とアスタキサンチンが含まれています。




今回の研究では、

2型糖尿病患者において、

オメガ3系脂肪酸の供給源としてのクリルオイルサプリメント投与による心血管リスク因子および糖代謝への影響が検証されました。


具体的には、

ランダム化二重盲検クロスオーバー試験として、

2012年から13年にかけて、

コネチカット州でリクルートされた2型糖尿病患者48名を対象に、


クリルオイル投与群あるいは対照群の2群について4週間の投与が行われ、

2週間のwash-out後、

クリルオイルがさらに17週間投与されています。


この試験ではクリルオイルサプリメントがオメガ3系必須脂肪酸の供給源として投与されており、
投与量は、1日あたり1,000mgでした。



クロスオーバーでは、

投与前、最初の介入後、2回目の介入後の3点において、

血管内皮機能、

血中脂質、糖代謝関連指標、抗酸化能が測定されました。


さらに、17週間のクリルオイル投与後にも測定されています。


試験途中で1名が脱落し、

被験者47名が、最初のクロスオーバー期間を完了しました。


(被験者は、平均年齢64.8 歳、66%が男性でした。

22名(46.8%)の参加者が試験期間中にインスリン療法を受けており、

22名中15名が経口血糖降下剤を服用していました。)



解析の結果、

まず、

対照群に比べて、

クリルオイル投与群では、

4週間の介入によって、

血管内皮機能の有意な改善、

血中Cペプチドの低下、

HOMAスコアの低下が見出されたということです。


次に、

34名の被験者が
17週間のクリルオイル投与を完了し、

この群での解析の結果、

投与前に比べて、

介入後では、

血管内皮機能の有意な改善および血中HDL値の有意な改善が見出されました。



以上のデータから、

2型糖尿病患者において、

クリルオイル投与による血管内皮機能改善効果および脂質代謝改善作用が示唆されます。


今後、臨床的意義の検証が期待されます。




なお、論文によると、今回は、クリルオイルサプリメントをオメガ3系必須脂肪酸の供給源として、つまり、EPA+DHAサプリメントとしてとらえて、その機能性を調べた、という説明になっています。


したがって、

現時点では、

経済性(費用対効果)を考えると、EPAとDHAサプリメントの組み合わせのほうが好ましいと思います。

(クリルオイルが比較的高価であるためです。)


また、クリルオイル(オキアミ油)に含まれるカロテノイド系ファイトケミカル、アスタキサンチンも、サプリメントとして摂取が可能です。

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EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。



EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。


オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。


現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。





臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。


また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。


日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。


EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。


一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。






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