先月の生薬学の専門ジャーナルに、エキナセアの有効成分に関する総説が掲載されています。
(Planta Med 2007; 73: 615-623)
オーストリアの大学からの論文です。
今回の総説では、エキナセアの主要成分であるalkamides(alkylamides アルキルアミド類)の作用が検討されました。
近年の研究では、エキナセアの経口摂取後、ヒト血漿中においてalkamidesが見いだされています。
化学構造上、alkamides が、カンナビノイド受容体の内在性リガンドであるanandamide(アナンダミド)に類似していることから、CB2受容体を介する免疫調節メカニズムが示唆されるという内容です。
これまでにalkamidesがCB2受容体を介してヒト単球/マクロファージにおけるTNF-α遺伝子発現を増加させるという報告があり、エキナセア由来のalkamidesのCB2受容体に対する親和性は内因性カンナビノイド類よりも強力であるというデータが示されています。
(ちなみに、カンナビノイド受容体は、7 回膜貫通型の G 蛋白結合型受容体で、CB1 と CB2 の2 種類があります。
CB1は中枢神経系に広く分布し、マリファナの多彩な精神神経作用を伝達することが知られています。
最近話題の抗肥満薬のリモナバンは、CB1拮抗剤です。)
エキナセアの働きは、複数の成分のシナジーによると考えられ、その作用機序の解明は用意ではありませんが、今後の研究進展が期待される分野です。
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