今月の栄養学のジャーナルに、トマト製品の摂取によってLDLコレステロールが低下するという臨床研究が、フィンランドのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2007 Dec;98(6):1251-8.)
トマト製品の摂取が多いと、前立腺がんや肺がん、大腸がんといった悪性腫瘍の他、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクも減少することが示唆されてきました。
今回の研究では、トマトによる動脈硬化性疾患の抑制メカニズムを検証するという目的にて、トマト製品摂取による脂質代謝およびLDL酸化に対する影響が検討されています。
健常者21名を対象に、トマト製品を含まない食事、あるいはトマト製品を多く含む食事(トマトジュース400mlとトマトケチャップ)を3週間ずつ、摂取させ、各指標が検討されています。
その結果、トマトを含まない食事摂取時に比べて、トマトを多く含む食事摂取時では、総コレステロール値は5.9%(p=0.002)、LDL値は12.9%(p=0.0002)、それぞれ有意な低下が認められたということです。
また、総コレステロールおよびLDLコレステロールの変化は、血中リコピン、ベータカロテン、ガンマカロテンと有意に相関していました。
さらに、LDLの酸化に対する抵抗性の亢進も示されています。
以上より、論文著者らは、トマト製品の摂取が多いと、LDLコレステロールの低下作用およびLDL酸化抑制作用が得られる結果、動脈硬化性疾患が抑制されると考察しています。
トマトには、リコペンやベータカロテンといったカロテノイド類が豊富に含まれており、抗酸化作用を示します。
今回の研究は、健常者を対象にした実験として行われ、脂質代謝における有意な変化が示されています。
今後、臨床的意義の検討のために、高脂血症(脂質異常症)患者を対象にした研究が必要と考えられます。
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