栄養学の専門誌に,リンゴポリフェノールによる胃粘膜保護作用を示した基礎研究がイタリアのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Dec;100(6):1228-36.)
医薬品として広く利用されているアスピリンでは,胃腸障害などの副作用が知られています。
一方,機能性食品素材の中には,胃粘膜保護作用を有し,胃腸障害を抑制する働きを示す成分があります。
今回の研究では,ラット胃粘膜におけるアスピリン誘導性障害に対するリンゴポリフェノールの効果が調べられています。
アスピリン経口投与前にリンゴポリフェノールを投与し,COX2などの炎症関連マーカーが測定された結果,COX2 遺伝子やHB-EGF遺伝子の発現増加,胃粘膜障害が有意に抑制されたということです。
このとき,組織学的所見では,障害面積の50%減少が認められています(p<0.05)。
なお,リンゴポリフェノールは,胃酸分泌に対しては特に有意な影響を与えていません。
以上のデータから,リンゴポリフェノールは,抗炎症作用を持つ細胞内分子を誘導することで,胃酸分泌を変えることなくアスピリン誘導性胃粘膜障害を抑制することが示唆されます。
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