栄養学の専門ジャーナルに,炭水化物の吸収阻害による肥満・糖尿病に対する効果を検証したレビューが,米国のグループ(Georgetown University Medical Center)から報告されていました。
(
J Am Coll Nutr. 2009;28:266-76.)
かつて,肥満の原因として,脂肪の過剰摂取が注目され,脂質の適正な摂取に関する啓発が行われてきました。
特に米国では,その傾向が顕著で,低脂肪や無脂肪の食品がスーパーであふれるようになっています。
しかし,米国では脂肪の摂取量が減少したにもかかわらず,肥満者は激増したという事実があります。
現在では,炭水化物の過剰摂取,特に単純炭水化物の過剰摂取が肥満をもたらし,糖尿病の誘因にもなることが知られています。
そこで,GI(グリセミック指数)やGL(グリセミックロード),カーボカウントといった,炭水化物の質に注目した指標が,肥満や2型糖尿病の予防と治療に応用されるようになりました。
一般には,単純炭水化物の摂取制限が推奨されますが,これらの食事では満足できない場合もあります。
そこで,食事療法に対する補完療法として,単純炭水化物の吸収を遅らせる成分として,食物繊維や機能性食品を併用する方法があります。
今回の論文では,単純炭水化物の制限や吸収阻害のための方法について,レビューが行われました。
まず,炭水化物摂取時のグリセミック指数を低下させる方法として,食物繊維の添加では,食物繊維の含有量が多くなると,ガスの発生や下痢など消化器系症状が生じることで,QOLの低下という問題が生じると指摘されています。
次に,炭水化物の吸収抑制や遅延を目的とした,機能性食品成分に関して検証されました。
具体的には,αアミラーゼやαグルコシダーゼといった消化酵素の働きを抑制する成分がサプリメントとして利用できます。
多くのサプリメント製品の中で,アミラーゼ活性を抑制する機能性成分が広く認知されており,特に,白インゲン豆抽出物は,基礎研究と臨床研究で有効性が示されているということです。
ファビノールなどの製品を補完的に利用することができそうです。
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